鈴木亮平&宮沢氷魚、『エゴイスト』恋人役で受けた刺激「亮平さんは、細胞レベルでその人物になっていく」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
鈴木亮平&宮沢氷魚、『エゴイスト』恋人役で受けた刺激「亮平さんは、細胞レベルでその人物になっていく」

インタビュー

鈴木亮平&宮沢氷魚、『エゴイスト』恋人役で受けた刺激「亮平さんは、細胞レベルでその人物になっていく」

鈴木亮平宮沢氷魚が恋人役を演じた映画『エゴイスト』(公開中)。原作である高山真の自伝的小説にリスペクトを表し、鈴木と宮沢が誰かを愛するがゆえに生まれる葛藤をリアルかつ、繊細に体現。性別や血の繋がりを問う愛について、真摯に向き合った映画として完成している。鈴木は「本作を観たゲイの方々に、『これは自分たちの物語だ』と思ってもらえるものとして完成させなければいけないと感じていた」と覚悟したと語り、宮沢は「本作に運命的なものを感じている」と明かすなど、並々ならぬ情熱を注ぎ込んだことを告白。インタビューで微笑みを交わす姿からも息の合った様子の伝わる2人が、お互いから刺激を受けた場面や、“愛とエゴの境界線”について語り合った。

数々の名コラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説を映画化した『エゴイスト』
数々の名コラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説を映画化した『エゴイスト』[c]2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

「僕もよく“愛とエゴの境界線”について考えてしまう。主人公にとても共感しました」(鈴木)

14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分を押し殺しながら思春期を過ごした浩輔(鈴木)。いまは東京のファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太(宮沢)。惹かれ合った2人は満ち足りた時間を重ねていくが、彼らの前にある運命が押し寄せる。監督は、『トイレのピエタ』(15)の松永大司が務め、LGBTQ+インクルーシブ・ディレクター、インティマシー・コレオグラファーら当事者が撮影にも参加し、鈴木と宮沢の役づくりを支えた。

――特別な余韻の残る、せつなくも尊い愛の物語として完成しました。お二人が本作にぜひ参加してみたいと思われた理由から教えてください。

主人公との縁を感じたと明かした鈴木亮平
主人公との縁を感じたと明かした鈴木亮平撮影/黒羽政士

鈴木「小説を読んで、僕は主人公にとても共感しました。それがまず本作に惹かれた大きな理由です。僕ももともと“愛とエゴの境界線”について考えてしまうようなところがあって、さらに言うと主人公と同じ大学に通っていたという共通点もあります。地方から出てきて、同じ大学で外国語を学んでいたということもあり、なんだかとても縁を感じました」

――浩輔役を演じるうえでは、当事者の方にもたくさんアドバイスをもらったそうですね。

鈴木「縁を感じて『出たいな』と思ったけれど、果たして自分がやることがいいんだろうかという思いもありました。ゲイの役を演じるうえではいろいろな方にお話を伺い、自分なりに勉強もしましたが、『ゲイだからこうだ』という答えってないと思うんです。だからといって僕の想像だけで演じてしまうと、仮にそれがいかにリアルだったとしても、映画が世に出た時に差別や偏見、ステレオタイプなものを広めてしまう危険性がある。そこには注意深く臨まないといけないと思っていましたし、本作を観たゲイの方々に『これは自分たちの物語だ』と思ってもらえるものとして完成させなければいけないという覚悟や責任も感じました。当事者の方々が無知だった自分にイチから勉強をさせてくれて、トライすることができました。彼らのおかげで、浩輔を演じることができました」

――宮沢さんは、透明感とまっすぐさの共存した龍太を演じられました。

「亮平さんと共に生きられるということも背中を押してくれた」と語る宮沢氷魚
「亮平さんと共に生きられるということも背中を押してくれた」と語る宮沢氷魚撮影/黒羽政士


宮沢「僕が本作のオファーのお話をいただいたのは、数年前のことになります。そこで初めて台本と原作を読んで『なんて美しい物語なんだろう』と、その美しさに圧倒されました。ただその時点では映画化が実現せず、何年か経って『鈴木亮平さんと一緒に本作をやらないか』というお声がけをいただいて。一度実現できなかったものにまた呼んでもらえたこともうれしかったですし、なんだか僕は、本作に運命的なものを感じました。亮平さんと共に生きることができるということも背中を押してくれて、自分の持っている力を出すことによってこの作品を一人でも多くの方に届けることができるならば、ぜひ本作の一部になりたいと思いました」

――本作に感じた美しさとは、どのようなものでしたか?

宮沢「『愛とはなんなのか』『自分の人生において愛はどのような影響をもたらすのか』と考えることは、僕にとって永遠の課題でもあります。そこにとことん真正面から向き合っている原作、脚本だったので、美しさと共にエネルギーも感じました」

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