俳優・小池徹平らスピルバーグ映画に影響を受けた3人が語る、新作『フェイブルマンズ』の魅力
『E.T.』(82)、『ジュラシック・パーク』(93)など、数えきれないほどの名作を世に送りだしている映画界の巨匠スティーヴン・スピルバーグ。彼の作品は、日本の著名人たちにも大きな影響を与えている。インシアターマガジン「月刊シネコンウォーカー」2月号では、最新作『フェイブルマンズ』(3月3日公開)特集で、スピルバーグ好きだという3人の俳優、監督、評論家に、作品との出会いや新作の魅力について語ってもらった。
「家族の絆や人生に心打たれました」小池徹平(俳優)
ドラマで多彩な演技力を見せつけ、舞台では主演を務めるなど、活躍の場を広げている俳優・小池徹平。彼が映画好きになったきっかけがスピルバーグの作品だという。「スピルバーグは、確実に僕を映画好きにしてくれた1人。子どものころから『E.T.』や『ジュラシック・パーク』など、何度観たことか。彼の映画はまるでテーマパークにいるように子ども心をくすぐり、ドキドキワクワクさせてくれます。そして本作は久々に、じっくりと人間ドラマを味わうぜいたくに浸らせてくれました」
『フェイブルマンズ』では、映画のすばらしさに心を奪われる少年サミー(ガブリエル・ラベル)や、彼を取り巻く家族、友人たちの姿が描かれる。小池徹平が特に感情移入したのが、サミーの父親バート(ポール・ダノ)だったそう。「いまの僕は主人公のサミーというより、彼の親――父親の目線と気持ちで観ていました。子どもって親が思う以上のスピードで成長していく。サミーが初めて観た映画をきっかけに映画に目覚め、どんどん突っ走っていく。そんなピュアさを両親がそれぞれの立場で応援する、本当にステキな家族でした」
「同時に科学者である父親が立派に育ってほしいと別の道を望む気持ちもわかるんですよね。きっとお父さんは、芸術家である個性的なお母さんや息子に対し、複雑な心境を抱えていたんじゃないかな。彼は奥さんの本心にも気づいていたうえで心から愛していたし、一家の大黒柱であろうとしたんじゃないかなと。信念を貫き通したサミーの父親は、ある意味とても強い人だと思います。そんな家族の絆やそれぞれの人生に、父親である自分を重ねて激しく心を打たれました」