心温まるキャラを演じ続けてきた、トム・ハンクスの“ナイス・ガイ”ぶりを振り返る
アカデミー賞で外国語映画賞にもノミネートされた、スウェーデン発の大ヒット映画『幸せなひとりぼっち』(22)をハリウッドリメイクしたヒューマンドラマ『オットーという男』(公開中)。主演のトム・ハンクスは本作で、嫌われ者なのに、好きにならずにいられないオットーを魅力的に演じている。2度のアカデミー賞に輝くハンクスは、これまで善人、悪人問わず様々な役柄で見事な演技を披露しているが、真骨頂となるのはやはり彼の人柄と同じく“ナイスガイ”だろう。そこで今回は、これまでハンクスが命を与えた心温まるキャラクターが登場する作品を紹介したい。
無垢&無邪気さが魅力!…『ビッグ』、『フォレスト・ガンプ 一期一会』、「トイ・ストーリー」シリーズ
アメリカのバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演するコメディアンとしてそのキャリアをスタートさせたハンクス。そのため彼の初期の出演作にはコメディが多いが、これまでアカデミー賞に6度ノミネートされている彼の記念すべき初オスカーノミネート作品となったのがハートウォーミング・コメディ『ビッグ』(89)だ。大きくなりたいと願ったために、突然、大人の姿になってしまう12歳の少年ジョッシュを茶目っ気たっぷりに演じている。玩具メーカーに就職した彼が枠にとらわれない自由な発想で活躍する様子は痛快で、同じ職場の重役スーザンと愛し合いながらも、もとの姿に戻るべきか葛藤する姿にはジーンとさせられた。
この無邪気なジョッシュ役は、後にアカデミー賞主演男優賞を受賞した『フォレスト・ガンプ 一期一会』(94)へのステップとなる役柄だったと言えるかもしれない。ロバート・ゼメキス監督のメガホンによる本作では、知能指数は劣るが、清らかな心を持つガンプの視点でベトナム戦争やウォーターゲート事件などの歴史的事件が語られていく。幼い頃はいじめを受けながらも、誠実さと類まれな身体能力でついにはエビ漁で大成功をおさめるガンプ。1人の女性への一途な恋も胸アツで、「人生はチョコレートの箱、開けてみるまでわからない」とのセリフが感慨深い。
そして無垢な“ナイスガイ”といえば、ハンクスがキャリアを通じて演じてきた「トイ・ストーリー」シリーズのウッディは外せないだろう。ピクサー・アニメーション・スタジオによる『トイ・ストーリー』(95)は、劇場用長編映画としては初となったフルCGアニメーション。アンディ少年の一番のお気に入りであるカウボーイ人形のウッディを中心に、おもちゃたちが織りなす大冒険が描かれる。シリーズ第4弾となる『トイ・ストーリー4』(19)に至るまで24年に渡りウッディの声優を務めてきたハンクスは、毎回演じることに大きな責任を感じながらも、ウッディの生涯の友であるバズ・ライトイヤーの声優を務めたティム・アレンという素晴らしい友人と出会えたことに感謝しているのだという。