“貞子”25年の歴史をプレイバック!呪いがアップデートされた『貞子DX』はエンタメ感満点
“観たら一週間後に死ぬ”呪いのビデオの恐怖を描き、日本中を戦慄させた『リング』(98)から四半世紀。いまやハリウッドにも進出するなど日本を代表するホラーアイコンとなった“貞子”が、現代社会に新たな恐怖を植え付ける『貞子DX』が、4月14日(金)にBlu-ray&DVDでリリースされる(DVDレンタル中、デジタル先行配信中)。
SNSで拡散される“貞子の呪い”と、その“呪いの方程式”を24時間以内に解明すべく奔走する主人公たちの姿を描いた本作は、じっとりとした怖さが特徴のJホラーとは一線を画すようなエンタテインメント性に富んだ謎解きサスペンスホラーに進化を遂げた。本稿では、映画化作品で貞子がたどった25年の“呪い”の歴史を振り返りながら、本作の見どころを紹介していこう。
時代に合わせて“貞子”の呪いもアップデート!
1991年に出版され、大ベストセラーとなった鈴木光司の小説「リング」から生まれた“貞子”。同作を映画化した中田秀夫監督の『リング』で、白いワンピース姿と顔を覆い隠すほどの長い黒髪という一度見たら忘れられない特徴を手に入れる。そしてそのクライマックスで、テレビ画面のなかから這い出してくるという強烈なインパクトを放ち、たちまち誰もが知る怨霊となった。
『リング』と同時上映だった『らせん』(98)、翌年公開の『リング2』(99)、そしてその翌年の『リング0 バースデイ』(00)と貞子の呪いを描いた物語はシリーズ化され、そのバックグラウンドや正体について紐解かれていきながら、当時の日本映画界を大いに盛り上げた“Jホラーブーム”をも牽引。ひいては韓国やハリウッドでもリメイク版が制作されるなど、貞子の呪いはワールドワイドなものへと拡大していく。
2000年代も中盤に差し掛かると、貞子の主戦場であったVHSは衰退の一途をたどっていく。国内では12年ぶりの新作映画となった『貞子3D』(12)では、当時流行しつつあった3D映画の技術と、テレビ画面から這い出してくる貞子の特性が融合し、新たなタイプのホラー作品として進化。その続編『貞子3D2』(13)を経て、2016年には「呪怨」シリーズとクロスオーバーする『貞子vs伽椰子』が公開され、Jホラー界のアイコンとして双璧をなす伽椰子と直接対決を繰り広げるなど、ホラーの枠にはまらないエンタメ色を携えていった。
その後、2019年に中田監督がシリーズに復帰を果たした『貞子』(19)が公開。時代の流れに即すように“呪いのビデオ”は“動画配信”というかたちへと移行し、貞子という存在そのものがアップデート可能であると証明された。このホラーシリーズの原点回帰ともいえる作品を通して、改めて呪いの原点へと立ち返り生まれたテーマが、“呪いもウイルスのように変異する”ということだったという。
一方、現実世界においても、2019年にニューズウィーク日本版の「世界が尊敬する日本人100」に怨霊として初めて選出されたり、スマホゲーム化や世界的サバイバルホラーゲーム「Dead by Daylight」への参戦。さらには伝統芸能である歌舞伎とのコラボレーションからYouTuberデビューまで、多種多様な変異を見せ続ける貞子。そして『貞子DX』では、ついにDX(=デジタル・トランスフォーメーション)化を遂げることとなる。