“貞子”25年の歴史をプレイバック!呪いがアップデートされた『貞子DX』はエンタメ感満点
IQ200の天才大学院生が、“呪いの方程式”に立ち向かう!
“呪いのビデオ”を観た人が、24時間後に突然死するという不可解な事件が全国各地で発生する。IQ200という天才的な頭脳の持ち主である大学院生の一条文華(小芝風花)は、テレビ番組で共演した人気霊媒師のKenshin(池内博之)からその事件の解明を挑まれる。
呪いがSNSを通して拡散すれば、人類が滅亡すると主張するKenshinに対し、呪いの存在自体を否定する文華。ところが興味本位でビデオを見てしまった妹の双葉(八木優希)から、「白い服の人につけられている」という言葉と共に助けを求められる。すべては科学的に説明できると考えた文華は、自称占い師の前田王司(川村壱馬)と謎の協力者である感電ロイド(黒羽麻璃央)と共に、24時間以内に“呪いの方程式”を解明しようと奔走する。
あらゆるものがデジタル技術によって格段に進歩を遂げた現代。その技術によって人々の生活をより良いものへと変革させていくというのが“DX(=デジタル・トランスフォーメーション)”だ。映像記録メディアも劇的に変化し、VHSというかつてのメディアを失った貞子もまた、その恩恵を受けるべき存在なのかもしれない。劇中ではすっかりVHSは過去の遺物として扱われ、ビデオデッキは押し入れの奥底にしまわれている。しかしそこで再生された貞子の呪いは、デジタルで繋がった人々の好奇心と恐怖心を介し、みるみるうちに伝播していく。
本作の特徴の一つは、貞子の呪い=“貞子ウイルス”が時代に合わせながら変異することが、2020年から続く新型コロナウイルスによる世界的パンデミックと奇妙なまでにリンクしていることだ。世界中の人々が新種のウイルスの存在を解明し、いかにして共存の道を見つけ出していくかを模索してきたのと同じように、本作の登場人物たちも貞子の呪いと戦い、解決策を見つけようとする。そうしたホラー映画に欠かすことのできない今日的な恐怖が、物語にさらなる奥行きを与えているといえるだろう。
小芝や川村、黒羽といった若手実力派キャストと、池内や西田尚美、渡辺裕之といったベテラン俳優たちのアンサンブルももちろん見逃せない。メガホンをとったのは「99.9 -刑事専門弁護士-」シリーズなどで知られる木村ひさし監督。コメディ映画を得意としてきた職人監督だからこそ実現できた、ホラー映画の常識を超越した語り口は、怖いのに何故か笑えてしまい、度肝を抜くような展開すら待ち受けている。まさに“恐怖と笑いは紙一重”という言葉を地で行くような、新たな“貞子の恐怖”の誕生だ。