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ジョン・カーペンターが明かす、45年引き継がれた恐怖の精神「マイケル・マイヤーズは悪の象徴で“邪悪”そのもの」

インタビュー

ジョン・カーペンターが明かす、45年引き継がれた恐怖の精神「マイケル・マイヤーズは悪の象徴で“邪悪”そのもの」

「45年前を振り返っても、ローリー役はジェイミー以外には考えられませんでした」

【写真を見る】撮影時の雰囲気が伝わってくる!『ハロウィン』(78)でのジョン・カーペンター&ジェイミー・リー・カーティス
【写真を見る】撮影時の雰囲気が伝わってくる!『ハロウィン』(78)でのジョン・カーペンター&ジェイミー・リー・カーティス[c]EVERETT/AFLO

ローリー・ストロード役のジェイミー・リー・カーティスは、オリジナルの『ハロウィン』で同役を演じて以来、長きにわたりハリウッドの第一線で活躍を続けている。『ハロウィン』新三部作で主演を務める一方、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)でアカデミー助演女優賞を受賞したのも記憶に新しい。「ジェイミーとは、彼女が19歳の時から一緒に仕事をしています。45年前を振り返っても、ローリー役は彼女以外には考えられませんでした。その後のジェイミーの役者としての成熟は目を見張るばかりだし、共に仕事をする人間としても大きく成長したと思っています。『エブリシング~』での彼女も最高でした」。

その後ホラー映画に多く出演し、「スクリーミングクイーン」として高い評価を得たカーティス
その後ホラー映画に多く出演し、「スクリーミングクイーン」として高い評価を得たカーティス[c]EVERETT/AFLO

ローリーと共に「ハロウィン」で欠かせないキャラクターと言えば、残忍にして無慈悲な殺人鬼マイケル・マイヤーズだ。カーペンターが作り出したこのホラーアイコンは、誕生から45年を経たいまも観客を恐怖のどん底に陥れている。「マイケルは人間を超えた存在です。悪の象徴であり、さらにいえば“邪悪”そのもの。不気味なマスク姿や、凶行の連続を含め、彼には観客をしっかり怖がらせるという役目が与えられています。『ハロウィン』はこれまで何度も作られていますが、この恐怖の精神は長年受け継がれているのです。45年もシリーズが続いてきた理由は、そこにあるんでしょうね」。

「いまも映画を愛しているし、監督をすることも好きです」

新三部作では、先にも述べたようにカーペンターは音楽家としても関わっている。シリーズおなじみとなっているあのテーマ曲は、そもそもカーペンター自身が作曲したものであり、『ニューヨーク1997』(81)や『ゼイリブ』(88)など多くの作品でも音楽を兼任してきた。そして彼はこの作曲という仕事を、以前よりも楽しんでいるようだ。「監督として映画に向き合うのと同じで、音楽を担当するにしても、まず物語を正面から捉えるようにしています。撮り上がった映像を見て、そこから沸き上がったものを音楽として刻んでいくんです。デヴィッドの映画は感情の起伏がハッキリしているし、映像も具体的なので作曲はしやすかったですね」。

本作の音楽制作にあたり、カーペンターは息子のコディー・カーペンターや、名付け子のダニエル・デイヴィスと共同で取り組んだ。この3人のチームは映画音楽だけに留まらず、アーティストとしても活動しており、これまでに3枚のアルバムをリリースしている。「アーティストとしての音楽活動は、映画音楽とは異なり映像がないので、私とコディー、ダニエルでスケッチをしていかないといけないのです。3人でアイデアを持ち寄って、それをすり合わせていくのですが、この作業が楽しくてね。映画監督として仕事をするよりも、いまは正直なところこのような音楽制作の方にやりがいを感じています。ストレスもないし、いろいろ自由に試せるし、しかも楽しめるのだから、とても充実していますよ」。

新三部作でもマイケル・マイヤーズの恐怖の精神は変わらない
新三部作でもマイケル・マイヤーズの恐怖の精神は変わらない[c]2022 UNIVERSAL STUDIOS


映画監督としてのカーペンターを知るファンとしては、この発言は少々複雑でもある。21世紀以降、彼が監督した映画は、『ゴースト・オブ・マーズ』(01)と『ザ・ウォード 監禁病棟』(10)の2本のみ。監督業を離れてから13年が経過している。この間には、“新作に着手”というニュースはしばし聞かれたが、実現に至ることはなかった。実際のところ、監督復帰の意思はあるのだろうか?「様々な企画がボツになったように見えるかもしれませんが、棚上げされているだけで、どれも企画開発中なんです。例えば『遊星からの物体X』の続編は、具体的にはなにも決まっていないし、製作にGOが出るには程遠いけれど、プロジェクト自体は進めているんですよ。75歳の私にとっては、正直なところ監督業は楽なものではないですが、いまも映画を愛しているし、監督をすることも好きです。この先、どうなるかはなんとも言えませんが、新たなプロジェクトが形になることを願っています」。

取材・文/相馬 学

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