「オードリーの美しさは、弱さも含めた強さ」豊田エリーがいまも愛され続けるオードリー・ヘプバーンの魅力を語る

インタビュー

「オードリーの美しさは、弱さも含めた強さ」豊田エリーがいまも愛され続けるオードリー・ヘプバーンの魅力を語る

「オードリーの美しさは弱さを含めた強さでもあるからこそ、彼女の表現に全世代の方が勇気づけられる」

映画スターとして人気絶頂期に、子育てのため仕事をセーブして業界関係者を驚かせたヘプバーン。一児の母親である豊田に自身と重なるところがあったのでは?を尋ねると「オードリーと比べるなんておこがましいのですが」と恐縮しながら、「私の場合は若くしての結婚と、自分のキャリアを積み重ねていくことが同時進行だったので、どちらも頑張っていくしかなくて。ただ、無理に仕事と家庭を両立させるというよりは、両方やっていることが自分にとっての一番いいバランスでした。私が仕事を頑張れるのは、家庭があってこそとも思っています」と自身のキャリアについても語る。

【写真を見る】結婚式で幸せな表情を見せるオードリー・ヘプバーン、貴重なプライベートショットと名シーンを振り返る
【写真を見る】結婚式で幸せな表情を見せるオードリー・ヘプバーン、貴重なプライベートショットと名シーンを振り返る[c]Everett Collection/AFLO

「オードリーが『子育てのためになにかを犠牲にしたわけではない』と語っていましたが、彼女はそれが自分にとって一番の幸せだと思ったから、子育てのほうを選んだわけで。昨今は女性の社会進出が盛んなだけに、『家庭に入ることが幸せ』とは言いづらい雰囲気になっている気がします。でも、幸せの価値観はそれぞれ違うし、いろんな生き方があることを、改めてオードリーが教えてくれました」。

夫メル・ファーラーと寄り添って、第1子となるショーン・ヘプバーン・ファーラーを抱える
夫メル・ファーラーと寄り添って、第1子となるショーン・ヘプバーン・ファーラーを抱える[c]Everett Collection/AFLO


劇中にはヘプバーンの息子や孫たちのインタビュー映像も挿入されている。「オードリーが彼らに愛情を注いだ分、その愛はちゃんと受け継がれているなと感じました。幼少期に父親の愛情を受けられなかった寂しい経験があったからこその愛情だとも思いますが、今回母親としてのオードリーの顔と共に、家族の映像も観られてよかったです」。

後年はユニセフ親善大使として献身したオードリー・ヘプバーン(ドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』より)
後年はユニセフ親善大使として献身したオードリー・ヘプバーン(ドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』より)[c]John Isaac

折しもロシアによるウクライナ侵攻が続いているいまだからこそ、ユニセフ親善大使の活動を自分の使命として受け止め、戦争や飢餓の犠牲となった子どもたちを支えたヘプバーンの生き様は多くのものを訴えかける。
「いまウクライナで本当につらい想いをしている子どもたちがたくさんいるなかで、もしもオードリーが生きていたら、どんな行動を取っていただろうと、考えてしまいます。また、こういう時こそ、心のなかにオードリーの教えを持つというか、少しでも優しさを分け与えられるような人になる必要があるとも思いました」。

時代を経ても色褪せない銀幕の大スター、オードリー・ヘプバーン(ドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』より)
時代を経ても色褪せない銀幕の大スター、オードリー・ヘプバーン(ドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』より)[c]PictureLux/The Hollywood Archive/Alamy Stock Photo

最後に、豊田はヘプバーンが持つ唯一無二の美しさや品について心から称える。「どんな役を演じても、彼女自身の人柄がのることで品が出て、さらに魅力的な人物像になります。オードリーにはいつもありのままの美しさがありますが、それは弱さを含めた強さであるからこそ、彼女の表現に全世代の方が勇気づけられます。映画芸術においてはすごく稀有な表現者でしたが、外見だけではなく内面的な美しさが際立っていました。オードリーの映画は、今後も輝き続けますが、このドキュメンタリーを観ると、より一層ほかの作品も楽しめますので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです」。

取材・文/山崎伸子

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■『オードリー・ヘプバーン』
[STAR2 字幕版]5月4日(木・祝) 18:10~
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