【リレー連載第5回】長州力『聖闘士星矢 The Beginning』で回想…「かませ犬発言」藤波辰爾との出会いと直感「彼とぶつかり合えてよかった」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【リレー連載第5回】長州力『聖闘士星矢 The Beginning』で回想…「かませ犬発言」藤波辰爾との出会いと直感「彼とぶつかり合えてよかった」

インタビュー

【リレー連載第5回】長州力『聖闘士星矢 The Beginning』で回想…「かませ犬発言」藤波辰爾との出会いと直感「彼とぶつかり合えてよかった」

「『プロレス界に就職します』って、おもしろい」

スムーズではないスタートを切った長州の東京での生活。大学では「体育寮」に入り、厳しい練習の日々を送ることとなる。この「体育寮」には様々なスポーツで優秀な成績を収めている学生が暮らしていた。「練習がキツすぎて、夜逃げだす学生もたくさんいました。夜中に窓から荷物を投げて、飛び降りて逃げていくの(笑)。これ、本当の話。夜逃げの音はわかるんだよね。『また、1人消えるのか…』と慣れっこになるくらいの数の学生が体育寮をあとにしました」と練習の厳しさのわかるエピソードも披露。

新たな“The Beginning”との出会いのために踏ん張り続ける毎日と語った長州力
新たな“The Beginning”との出会いのために踏ん張り続ける毎日と語った長州力

「みんな3年生くらいになると就職活動も始まるから寮を出て行くけれど、僕は就職も特に考えてなかったし、オリンピックを目指すという目標もあったから、居座り続けて(笑)。そんな時に、ジャンボ鶴田先輩がプロレス界に入ったという話を聞いて、すごく驚いて。スポーツ紙の見出しで『プロレス界に就職します』のフレーズを見て、おもしろいと思ったのを鮮明に覚えています」。

プロレス入りをすすめてくれたのはレスリング部の監督だった。「六本木の半地下にある高級すき焼き屋さんに呼び出されて。『鶴田は全日本(プロレス)に行くけれど、お前はどうする?』って訊かれたけれど、どうするもこうするも、いまは目の前にある肉にしか興味がないと言わんばかりに、おいしいお肉をガンガン食べ続けてたわけ(笑)。4年間で培った忍耐力があればプロレスの道に進めるみたいなことを言ってくれていたけれど、話は半分聞いてないよね、なにせ肉に夢中だから。でも、満腹になったころに、体育寮を出たあとのことを考えなければいけないと気づいて。住むところとわずかながらの糧は得なきゃいけないと思ったから、『それなら!』という気持ちで選んだってわけ。衣食住の確保というのがプロレス入りの動機というのが正直な話です」と無邪気な笑顔を見せた。

トレーニングを重ねる星矢に自身の現役時代を重ねた
トレーニングを重ねる星矢に自身の現役時代を重ねた[c]2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd. All Rights Reserved

アマチュア・レスリングでハードな練習をしてきた長州だが、プロレス界の練習は種類が違って「キツかった」と苦笑い。「体の使うところがまったく違う。アマレスは練習が中心だけど、プロレスは体を作ることから始める。力をアップさせるために、ウエイトトレーニングをする。そういう意味での戸惑いと大変さは確かにありました」と話す長州だが、気持ちにも変化があったという。「住むところ、食べるところを確保したので、まずは安心っていう感じかな。体を作るために食べまくる毎日だったけれど、食事の心配をしなくていい環境はありがたかったです」と心から感謝した。


プロレス界に身を置いたころに意識した選手は、坂口征二、アントニオ猪木だった。「当時、トップでやっていた人だから、やっぱりすごく意識しちゃいます」と話した長州が、最も意識したのは藤波辰爾だ。「体は細いけれど、すごくバランスの取れた人。昔はよく練習で多摩川沿いを走っていたけれど、陸上でも通用するくらいの身体能力を見せつけられて。足の速さには驚いたけれど、筋力の作られ方がすごいのだろうって感心しました。足の速い人は身体能力が高いっていうけれど、まさにそれは藤波さんみたいな人のことを言うのだと思います」。

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