北野武監督、『首』のカンヌ・プレミア上映に感激「役者さんたちは本当によくぞやっていただきました」
公式上映のチケットは発売されるやいなや即完売し、場内には1068席を埋め尽くす超満員が駆けつけ、改めて本作への期待の高さを見せつけた。そして、北野監督とキャストたちが姿を現すと、 会場は総立ちとなり割れんばかりの拍手で迎え入れた。
約141分にも及ぶ本作も終盤、エンドロールに北野監督の名前がスクリーンに映し出されるやいなや、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、上映が終了すると、ドビュッシー劇場を埋め尽くした観客による約5分に及ぶスタンディングオベーションが贈られた。
北野監督は会場の熱気と観客の熱量に感謝し「今度はもっと良い作品作ってまた来ます」と照れくさそうにコメント。『首』を激賞した観客からも「とてもおもしろかった。笑えました。こういう北野武のユーモアはとても好きです。本当に映画、最高でした」「サンキューソーマッチ、北野武!」といった興奮を隠しきれない様子の熱いコメントも届いていた。
その後場所を移し、改めて作品が世界に羽ばたいた感想を聞かれると「編集やりながらずっと観てたので、寝ちゃうかな。と思っていたけど…久々に大画面で観てまあまあかなって感じ(笑)」と照れ笑いしつつ「ここに居る役者さんたちには本当によくぞやっていただきました。ありがとうございました」と改めて感謝を述べると、西島たちキャストが恐縮する場面も。
西島は「何度か映画祭で上映に立ち会っていますが、本当にすばらしい上映で感動しています。観客の皆様が集中して笑いながら観てくださって胸がいっぱいです」と言うと、加瀬も「映画が始まる前から、監督がものすごい熱気で迎えられているのも本当にすばらしくて、上映中のリアクションも良くて、上映後の拍手にも熱気がこもっていたので楽しんでいただけたんだと実感しました」と手応えを話した。
中村は「フランスの方々が、役者がアドリブで演じたシーンにも思った以上の笑いが起きて、びっくりと同時にうれしかったです」とコメントすると、大森も「この熱気にすごく感動した。アドリブの所はウケなかったどうしようと心配でしたが、しっかりウケていてホッとしながら見ていました」と安堵した。
浅野は「(鑑賞は)2度目でしたが、新たな発見と楽しめるポイントもたくさんあって、途中からはお客さんと一緒に笑って観ていて、なんだか家族と一緒に見ているような気持ちになりました」と 改めて本作の魅力を感じながら特別な想いに浸っていた。
最後に北野は「映画はとにかくお客様あっての話。実際カンヌで温かく受け止めてもらえたので、日本のお客さんも同じように受け止めてくれたら幸い」と、日本のファンに向けてメッセージを残した。日本が世界に誇る、北野武監督最新作『首』がついにカンヌの地でお披露目され、世界を驚かせたが、次は日本をどんなふうに驚かせるのか。11月23日(祝・木)の日本公開にも期待したい。
文/山崎伸子