“悪魔祓い”に挑んだ神父たちの壮絶な戦い…衝撃の真実に圧倒される実話ホラーまとめ
超常現象研究家のウォーレン夫妻が怪奇現象に苦しむ一家を救おうとする『死霊館』
実話系ホラーと聞いて、まず思い浮かぶのが現在進行形の「死霊館」ユニバースではないだろうか。実在の悪魔祓い、超常現象研究家エド&ロレインのウォーレン夫妻の活躍を描く本シリーズは、「アナベル」シリーズなどスピンオフを含め現在10本が公開。9月には『死霊館のシスター 呪いの秘密』の公開が予定されている。ユニバースの記念すべき第1弾が『死霊館』(13)だ。1971年、ロードアイランド州ハリスヴィルの一軒家に越したペロン夫妻と5人の娘たちは、次々と心霊現象に見舞われた。一家の依頼で調査を開始したエド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ヴェラ・ファーミガ)は、100年前にこの家で起きた忌まわしい出来事にたどり着く…。
物語のベースは、のちにロレイン本人(2019年没)が「最も怖かった」と語った悪魔祓い。監督はホラーからアクション大作までヒット作を連発しているジェームズ・ワンで、凝ったカメラワークや歯切れのよい語り口で幽霊屋敷の怪異を体感的に描いている。驚愕の憑依シーンのほか、カメラや温度探知機、赤外線センサーなど最新機器を駆使した調査手法も見どころで、実話系ではないが幽霊屋敷を科学的に解明しようとする名作ホラー『ヘルハウス』(73)と比べてみるのもおもしろい。映画を観たロレインは、映画的な脚色はあるが描写は正確だと称賛した。
「アミティヴィルの恐怖」をドキュメンタリータッチに映画化した『悪魔の棲む家』
『死霊館』のエピローグで、事件を解決したウォーレン夫妻の会話のなかに「アミティヴィルでなにかが起きたらしい」というセリフがある。この出来事が、1974年に起きた最も有名な怪奇実話の一つ「アミティヴィルの恐怖」だ。呪われた館で起きたこの出来事は1977年に出版され、『悪魔の棲む家』として映画化されることになった。一家惨殺事件が起きたニューヨーク郊外アミティヴィルの一軒家。事故物件として格安でこの家を購入したジョージ(ジェームズ・ブローリン)とキャサリーン(マーゴット・キダー)のラッツ夫妻は、3人の子どもと共にこの家で暮らし始める。ところが不気味な物音が聞こえたり、扉が開かなくなるなどの怪奇現象が起き、ジョージは心身共に追い詰められていく…。
「完全実話」を売りにした本作は、派手な演出を控え、ホラー映画としてはおとなしい作りだが、ドキュメンタリータッチがリアルな空気を増長。悪魔の仕業かラッツ一家の精神的な問題か、曖昧なラストも実話ならではといえる。映画は大ヒットしシリーズ計7作が作られたが、実話に基づくのは本作と一家惨殺事件を描いた前日談『悪魔の棲む家PART2』(82)のみ。2005年にマイケル・ベイ製作でいま風のオカルト映画としてリメイクされたほか、前日談も『悪魔の棲む家 REBORN』(18)としてリメイクされた。ちなみに、ウォーレン夫妻は事件の直後に、ドキュメンタリー番組のクルーたちとこの家を訪れ調査を行っている。