テロップ芸や伝説のモノマネ大会、深夜ラジオ的ノリのフリートークも!?「ビーストウォーズ」が“声優無法地帯”と呼ばれる所以とは

コラム

テロップ芸や伝説のモノマネ大会、深夜ラジオ的ノリのフリートークも!?「ビーストウォーズ」が“声優無法地帯”と呼ばれる所以とは

実力派声優たちによってコミカルにキャラ付けされたビースト戦士たち

当時としてはまだ珍しかった3DCGによる映像や有機的な生物から“変形”するトランスフォーマーたちの斬新さはもちろん、古代遺跡やエイリアンの存在など惑星にまつわる謎めいた展開もおもしろさの要因に。そのうえで、日本語版ではストーリーに大きな影響を及ぼさない範囲で作風のアレンジが施された。オリジナル版はハードな内容かつ設定も複雑だったため、メインの視聴者である子どもたちにより親しみを持ってもらうため、キャラクター同士の軽快なかけ合いや決めゼリフ、口ぐせといった要素が盛り込まれることに。これらは日本語版の監督を務めた、「ガールズ&パンツァー」シリーズや『ニンジャバットマン』(18)などの音響監督で知られる岩浪美和による演出の下、子安武人や千葉繫、山口勝平(ラットル役)、高木渉(チータス役)、藤原啓治(ダイノボット役)ら実力派声優たちによるアドリブも用いられ、随所にボケやツッコミ、ギャグ、第4の壁を破って視聴者へ呼びかけるメタネタが散りばめられていった。

ゴリラやサイ、チーターといった動物をスキャンしたサイバトロン
ゴリラやサイ、チーターといった動物をスキャンしたサイバトロン[c]Everett Collection/AFLO

例えば、新たな“破壊大帝”を自負するメガトロンは、痰を吐いたり、任務に失敗した部下をコミカルにお仕置きしたり、デストロン戦艦の内蔵コンピューター(声:柚木涼香。当初は永椎あゆみ名義で出演)を「ナビ子ちゃんっ!!」とハイテンションで呼んだりするなど、オヤジ感が強調されたキャラクターに。ほかにもサイバトロンからは、口ぐせが「~じゃん」のノリの軽い若者風で、ビームライフルを撃つ際には「撃つべし!」を連呼するチータスや、オリジナル版がベテラン戦士だったのに対し、自身を「オイラ」と呼ぶお調子者キャラになったラットル。デストロンでは、「オラオラ」と粋がる不良っぽいスコルポス(声:遠藤雅)や、「ミ(Me)~」「~ザンス」といった特徴的な話し方をするキザなテラザウラー(声:飛田展男)、攻撃を受けた際にお決まりのように「やられた~」とフェードアウトしていくワスピーター(声:加藤賢崇)などなど、登場キャラクターそれぞれに個性的で魅力あふれる人格が付け加えられていった。


【写真を見る】新たな“破壊大帝”としてデストロンを率いるメガトロンは、日本語吹替版を担当した千葉繁の名演(?)もあって憎めないオヤジキャラに!
【写真を見る】新たな“破壊大帝”としてデストロンを率いるメガトロンは、日本語吹替版を担当した千葉繁の名演(?)もあって憎めないオヤジキャラに![c]TOMY

ファンの間で語り継がれる!ラットルとエアラザーのテロップ芸

また、第1話「超生命体トランスフォーマー登場!!」でデストロンとの最初の戦闘を終え、ライノックス(声:中村大樹)の上にコンボイ、ラットルが乗って基地へ帰る途中、「サイの背中にゴリラを乗せて~。ゴリラの背中にネズミを乗せて~。サイがコケたらみんなコケたぁ~♪」とラットルが歌うようなとぼけたギャグシーンも満載。同じくラットルが途中参加のサイバトロン戦士でハヤブサから変形するエアラザー(声:岩永哲哉)に乗って偵察任務に赴くシーンでの、「オイラたちが真っ先に消されちまうんだね…」と愚痴をこぼすラットルにエアラザーが「人生もっと前向きに考えられないの?」と返し、「“人”が“生きる”と書いて“人生”なの。オイラ“ネズミ”だから“ネズミ生”」と屁理屈を言うシーンも有名。この時、ラットルのセリフがテロップとして表示されており、エアラザーが「バラエティじゃないんだからテロップ出すなよ」とツッコむなど、ファンの間でも名(?)シーンとして語り継がれている。

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