没入感抜群のラージフォーマット、豪華すぎる吹替版…「ミッション:インポッシブル」最新作は映画館でどう観る?
トム公認!安定の“森川イーサン”に、ツダケンの低音ボイス…吹替版なら2度おいしい(映画ライター・タナカシノブ)
スパイ組織IMF所属の腕利きエージェント、イーサン・ハントの活躍を描くスパイシリーズ第7弾にはシリーズ最強の敵が登場。挑む相手が最強なら、日本語吹替版の声優陣も最強に。お馴染みから初めまして、さらにお久しぶりのメンバーまでシリーズ最強の吹替キャストが顔をそろえた、日本語吹替版の見どころを紹介したい。
シリーズを重ねるごとに、更新されるクルーズのアクションの限界。CG合成だけでの映像では表現できない迫真のアクションが堪能できるのも「ミッション:インポッシブル」の魅力だ。進化し続ける俳優、トム・クルーズの声を担当するのは、森川智之。トム・クルーズ公認声優の安定感は抜群だ。カッコいいイーサンはもちろんのこと、追い詰められるイーサンも、焦るイーサンも、お茶目でコミカルなイーサンも魅力たっぷり。字幕版とあわせて観れば、森川演じるイーサンがいかにぴったりなのかを感覚で納得できる。声質は似ていないのに、イーサンという役がしっかりシンクロするところは、さすがのひと言。映画は字幕派でも、森川イーサン観たさに日本語吹替版を観るという声が多いのも大いに頷ける。
イーサン命懸けのミッションを支えるのがおなじみIMFチームのメンバー。伝説的ハッカーのルーサー・スティッケルは第1作から登場しているシリーズに欠かせないキャラクター。ルーサーの声を担当するのは手塚秀彰。イーサンが最も信頼できる友人であり、どんな時も冷静で優しい口調が特徴。イーサンとはまた違ったタイプで「なんとかしてくれる」という安心感を与えてくれる存在だ。
もう1人の天才技術者が、ベンジー・ダン。第3作の登場時にはIMF本部で内勤をしていたが、いまではすっかり現場で危険な任務に挑むキャラクターに。役割分担でいえばユーモア担当キャラだが、最新作では自分の命の危険を顧みず、大切な友人と多くの人々を守るためにとてつもないミッションに挑んでいる。ベンジー役は根本泰彦が担当。緊張感のある場面でもクスッと笑わせてくれる、適度なゆるさがたまらない。イーサンは「どうにかしてくれる」という安心感があるが、見守ってあげなきゃと応援したくなるところも魅力だ。
シリーズ最強の敵として登場する新キャラクター、ガブリエル役はシリーズ初参加の津田健次郎が担当。あのイーサンと死闘を繰り広げるなかなかの強敵で、クリストファー・マッカリー監督も「イーサンがこれまで直面した中で最大かつ最も打破しがたい脅威」とコメントするほど。予告にも登場する走る列車の上での対決シーンは、スピード感にあふれる見どころの一つ。腹の底から湧き上がるような低音ボイスに、じわりじわりと追い詰められるゾクゾク感が味わえる!
さらに、イーサンとの因縁を持つヘンリー・ツェーニー演じるユージン・キトリッジが第1作以来。なんと27年ぶりに再登場。キトリッジの声を担当するのは江原正士。淡々としながらも持論への同調を迫るさまは実に高圧的。第1作で見せたプラハのレストランでのシーンを思い出させるシーンでの江原の声の圧を存分に感じ取りたい。このシーンを含めて、第1作へのオマージュを捧げているシーンがあちこちに散りばめられているのも、本作の注目ポイントだ。
最新作にはパワフルで魅力的な女性陣も登場。イーサンの敵なのか味方なのかわからない。武器商人として暗躍するヴァネッサ・カービー演じるホワイト・ウィドウの声を担当したのは広瀬アリス。前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)で初登場したウィドウを続投した広瀬は、実力派声優陣が勢ぞろいする日本語吹替版で、善人と悪人両方の顔を持つ策士をミステリアスに演じ切っている。
本作のカギを握るグレース役は園崎未恵。アトウェルの声を演じ続けている園崎が、シリーズ初登場となる新キャラをクールに熱演。一匹狼からイーサンと共に行動することになり、そして“ある決断”を下すまで。本作で一番、自身の置かれる環境が変化したキャラクターの心情を繊細に丁寧に演じている。
さらに第5作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)で初登場したイーサンの戦友、イルサ・ファウストの姿も。声を担当するのは甲斐田裕子。元MI6(イギリスの情報機関)所属の諜報員であるイルサは、自らの方法で正義を貫くキャラクター。幾度となくイーサンと共闘し、その絆は恋愛や血縁を超えたものとなっている。交わす言葉は少なめでも、目に見えない絆をしっかりと感じさせる森川イーサンと甲斐田イルサのコンビネーションは絶品だ。
スクリーンいっぱいに広がる見たこともないアクションに目を奪われる本作は、吹替版で耳から情報を得ながらじっくりとストーリーや世界観を理解したい人には特におすすめ。字幕版、吹替版とセットで楽しみ、作品の魅力を存分にこれでもか!というくらいに堪能してほしい。