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没入感抜群のラージフォーマット、豪華すぎる吹替版…「ミッション:インポッシブル」最新作は映画館でどう観る?

コラム

没入感抜群のラージフォーマット、豪華すぎる吹替版…「ミッション:インポッシブル」最新作は映画館でどう観る?

すごいのはストーリーへの「集中力」…おなじみの「変装」と「偽装」も健在。2時間43分が一瞬の出来事のよう(映画ライター・斉藤博昭)

トム・クルーズの命知らずのスタントが毎回フィーチャーされる「M:I」シリーズだが、もう一つの大きなカタルシスがある。それはスパイ映画ならではのストーリーと描写。イーサン・ハントを中心としたIMFのチームが、相手をいかに「欺くか」というポイントが作品中の大きな見せ場となり、われわれ観客も「欺かれる」快感に酔ってしまう…というわけ。偽装のテクニック、鮮やかさは、ほかのアクション大作とは明らかに別次元で、そこに「M:I」の魅力を見つけることができる。

サイモン・ペッグ演じるベンジーは、最新作でもイーサンのために大奮闘!
サイモン・ペッグ演じるベンジーは、最新作でもイーサンのために大奮闘![c] 2023 PARAMOUNT PICTURES.

第1作から、イーサンがマスクで老人になりきり、情報を聞き出すなど多用される「変装」は、マスクの製造プロセスを描いたりと(第3作)、シリーズの“お約束”としてストーリーを盛り上げてきた。そのほかにも「偽装」のテクニックが要所で効果的に使われ、横取りされた機密ディスクに対して、イーサンがマジックのような手さばきで相手に偽物だと信じこませ、取り返す第1作から、シリーズの見どころになってきた。

PART TWOの活躍にも期待?イーサンを翻弄した新登場キャラ、グレース
PART TWOの活躍にも期待?イーサンを翻弄した新登場キャラ、グレース[c] 2023 PARAMOUNT PICTURES.

この「変装」と「偽装」で、最新作で重要な役割を果たすのが新登場のグレース。あらゆる情報にアクセス可能なAIをコントロールする2つの鍵。その争奪戦を描くうえで、スリを得意とするグレースは最適キャラ。彼女がマスクの変装で鍵を手に入れようとするクライマックスの攻防は、まさに「M:I」シリーズの醍醐味だろう。

またストーリーの魅力として、回を追うごとに増してきたのが、エモーショナルな展開だ。衝撃のエピソードが用意されたのは第3作で、イーサンの教え子リンジーが敵に拉致され、なんとか救出するも、頭に仕掛けられた小型爆弾が爆発。こうした突発的な悲劇がたまに起こるので、シリーズファンも新作を観ながら「今回は誰かが犠牲になるのか?」という緊張感を強いられる。特に女性キャラクターが悲劇のターゲットになる傾向が大きく、イーサンと彼女たちの関係性がより胸を締め付けることに。新作でも、宿敵となるガブリエルが、30年前にイーサンにとって最愛の女性の命を奪ったことが明かされ、さらに現在の大切な仲間である女性がイーサンの目の前で最期を迎えるという、ショッキングなシーンも用意される。こうした運命を自覚するイーサンが元妻ジュリアをあえて遠ざけるなど、その悲壮な決意がサブストーリーとして効果的に活きている。


様々な困難に見舞われるイーサンたち。果たしてIMFチームが迎える結末とは…!
様々な困難に見舞われるイーサンたち。果たしてIMFチームが迎える結末とは…![c] 2023 PARAMOUNT PICTURES.

一方で、メインのストーリーがどっしりと中心に位置し、余計な横道にあまりそれないのも「M:I」シリーズの特徴で、特に最新作では「2つの鍵を手に入れる」という任務に徹底して集中。悪い言い方をすれば「ストーリーがあまり進まない」のだが、にもかかわらず2時間43分、まったく飽きさせず、一瞬の出来事のように映画が終わる。サービス精神が旺盛すぎて、散漫になりがちなアクション大作も見受けられるなか、ストーリーへの「集中力」こそ本シリーズの持ち味だと、この最新作は教えてくれた。

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