“サクラワールド”が展開!?『BAD LANDS バッド・ランズ』強烈な熱量をはらんだ新場面写真
黒川博行の小説「勁草」を安藤サクラ、山田涼介の共演で実写化した9月29日(金)公開の映画『BAD LANDS バッド・ランズ』。本作より、主演の安藤をフィーチャーした新たな場面写真が解禁された。
本作は、第151回直木賞を受賞した「破門」や「後妻業」などの作品で知られる黒川博行の小説「勁草」を、『検察側の罪人』(18)や『関ヶ原』(17)を手がけた原田眞人による監督で実写化するクライムサスペンス。特殊詐欺に加担するネリ(安藤サクラ)とその弟のジョー(山田涼介)は、ある日“億を超える大金”を手にする。ネリー、ジョーの姉弟と大金を狙う様々な巨悪との攻防をスリリングに活写していく。
このたび解禁されたのは、安藤演じるネリの鬼気迫る表情が収められた場面写真。社会の最底辺で生きようとするネリの叫びをとらえた一コマに、前田航基演じる残間に対し容赦なくナイフを突きつける狂気をはらんだシーン、加えて困難な状況のなか生きる術を模索するかのような、思いを巡らせる一場面、いずれもどん底からもがき、懸命に生きようとするネリの気迫や生命力が、本編の熱量そのままに収められている。
今回、安藤のキャスティングにあたって本作でエグゼクティブ・プロデューサーを務めた柳迫成彦は「実写化するにあたって誰が動いたら一番かっこよく見えるか、この物語に最もフィットするか。そこでひらめいたのが安藤さんでした」と語るとおり、裏社会に生きるネリをフィクショナルなヒロイン像ではなく、より現実に寄り添ったリアルなキャラクターとして思い描いたときに真っ先に名前が挙がったのが安藤だったという。
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の『万引き家族』(18)で、審査員長のケイト・ブランシェットもその芝居を絶賛した母親役。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した『ある男』(22)では亡き夫の身元調査を依頼する妻。さらに今年のカンヌで話題をさらった『怪物』(23)では一人息子に愛情を注ぐシングルマザー。近年の家族を描いたヒット作品で、映画に説得力を与えてきた安藤が『BAD LANDS バッド・ランズ』で演じたのは“社会の最底辺で生きる疑似家族”。血のつながらない弟ジョーと「ふれあい荘」で身を寄せ合う人々、それを束ねる“祖父”のような存在の曼荼羅(宇崎竜童)と、特殊な背景の家族像も力強い生命力と説得力をもって演じている。
大阪が舞台となる本作では関西弁のセリフ回しが要だったが、連続テレビ小説「まんぷく」で大阪生まれのヒロインを演じきった東京出身の安藤は「方言だと自由に演じられる気がする」と楽しんでいて、出身地や年齢、男女によって異なる関西弁の発音やイントネーションを吟味しながら、ネリ独特の口調を作り上げ、共演の生瀬勝久や天童よしみなど関西弁話者を相手に生き生きと言葉の応酬を繰り広げ、物語に力強いリアリティと説得力を持たせている。
先日行われた完成披露試写会の舞台挨拶で共演の山田涼介も「変に飾ることなく、ご自身のペースがあって、おおらかな空気が流れる”安藤さんワールド”がある」と語るように、安藤は撮影現場でキャストや監督、スタッフたちをその自由さで魅了。本番前に独自の発声で喉をほぐす安藤の様子を目にした原田監督は実際にその発声を劇中でのネリの言動として採用。ネリを襲ったヤクザの構成員を拷問するシーンでは、どう演じたらよいかわからないと戸惑う安藤の代わりにジョーがスピリタスを飲ませることに。ところが本番でその時間がやってくると、ネリがジョーの手をもってスピリタスをヤクザの口に押し込めるというアドリブを入れ、見守る監督、スタッフ陣からも笑いがこぼれていたというエピソードからも安藤の現場での大胆さがうかがえる。
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』では、日本映画界を牽引する豪華キャストの中で、一層の輝きを放っている安藤サクラ。彼女の魅力が引きだされた本作をぜひスクリーンで堪能してほしい!
文/スズキヒロシ