新海誠監督、『すずめの戸締まり』“おかえり上映”で松村北斗起用の裏話を明かす「岩井俊二さんが『キリエのうた』を撮っている時に…』
2022年11月に公開し、国内興行収入148.6億円を記録、海外では興行収入290億円を突破した映画『すずめの戸締まり』のBlu-ray&DVD発売を記念した“おかえり上映”舞台挨拶が、9月20日にTOHOシネマズ日比谷にて開催。新海誠監督と声優の花澤香菜が登壇した。
本作は日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女、鈴芽(すずめ)の解放と成長を描く冒険物語。オーディションで選ばれた原菜乃華が九州で暮らす17歳の女子高生、岩戸鈴芽を、SixTONESの松村北斗が“災い”をもたらす扉を閉める「閉じ師」の青年、宗像草太を演じる。
壇上に立った思いを聞かれた新海監督は「5月に『これで最後です』と終映で皆さんとお別れしたんですけど、割とすぐに戻ってきてしまって『本当に申し訳ないな』という気持ちのほうが大きい」と苦笑。そのうえで「ただ、パッケージの発売と合わせて、実はすずめの旅というのは2023年の9月を描いたつもりだったんです。だからちょうど今なんですよね。『このタイミングに合わせて上映ができればいいよね』って話は実は去年から、実現できるかどうかはわからないけれどしていて、それが今回実現できたことはとてもうれしい」と微笑んだ。
本作ですずめの母親・岩戸椿芽を演じ、新海監督作品への出演も多い花澤は、本作のオファー時の思い出を聞かれると「オファーいただいた時、マクドナルドのCM...」と話し始め、新海監督が「ハッピーセットで本を作ったので、それと絡めて、すずめが日本全国を旅をしながらお母さんと一緒にハンバーガーを食べたシーンを思い出すっていうCMを作ったんですよね。そのアフレコがすずめのアフレコの一番最初だった」と受け取る。
すると花澤は「そうなんですよ。オファーいただいた時は『マクドナルドのCMの出演です』って言われて、『そうなんですね』と思ってたら、『すずめの戸締まり出れんの!』みたいになって(笑)。それで初めて知るみたいな感じでびっくりしました」と、映画本編への出演を後から知って驚いたことを打ち明けた。
同じく花澤が声優として出演した新海監督作『言の葉の庭』の話題になると、新海監督は「花澤さんはあの時から超人気の声優さんだったんですけど、どんどん活躍の幅を広げられて。武道館のコンサートも行った覚えがあるし、今日も今朝、久しぶりに会うっていうんで花澤香菜YouTubeチャンネルを見た」と告白。
花澤は「なに見てるんですかもう、やめてください」と恥ずかしそうに顔を手で押さえたが、新海監督は「『花澤香菜へ100の質問』って、良かったら皆さんも見ていただければ。僕結構(花澤について)詳しいです。嫌いな食べ物は砂肝なんです。好きな動物はカエルですよね」と止まらない。花澤は「怖いです監督が(笑)。ちょっと変ですね」とつぶやいていた。
また、本作の声優を務めた原と松村の印象を聞かれた花澤は「直接お二人と絡むシーンはなかったんですけど、私のアフレコを見てくださっていて」とアフレコを回顧。新海監督が「二人ともアニメーションも大好きなので、憧れの人に会いたいというので来ていましたね」と口にすると、花澤は「そのプレッシャーったらなかった。後ろからじーっと見られている感じがしていて(笑)」と振り返っていた。
さらに新海監督は「菜乃華さんと北斗くんとこの前久しぶりにご飯を食べたんですよ。お寿司を食べに行って」と報告。
そして「花澤さんも『言の葉の庭』の後、すごく活躍なさってますけど、ほっくん(松村)もなのちゃん(原)も『すずめ』の後もものすごく活躍していて。『ミステリと言う勿れ』という他の映画なんですけど、見た人います?めちゃくちゃ面白いですよ。あれ原菜乃華映画みたいになっていて、最初から最後までずっと菜乃華さんが出ていて、声の芝居もめちゃくちゃいいんですよ」と他作品での原の芝居を絶賛した。
松村については、新海監督が「他社の映画ですけど来月、岩井俊二監督の東映の映画で『キリエのうた』というのがあって。僕、岩井さんが『キリエのうた』を撮っている時に、現場で『北斗くんっていう子がすごくいいんだよ』と聞いて、『じゃあオーディション呼んでください』って言って、そこでフラットにオーディションをやって『彼がいいな』と選んだ」と岩井監督を通じての出会いだったことを打ち明けると、花澤が「岩井さんが、『いいなって思う感覚が(新海監督と)似ているからいつもキャスティングが似ちゃうんだよな』って」と岩井監督の言葉を明かす。新海監督は「僕がパクってるんです(笑)」と笑っていた。
取材・文/山田健史