映像も音も本物志向な『沈黙の艦隊』は“IMAX推し”!静寂な深海での潜水艦バトルを全力で体感
海中の静寂からど迫力の魚雷攻撃まで…こだわり抜かれた“音”の表現
そしてなんといっても、潜水艦を駆使した海中でのバトルシーンの数々は圧巻の一言に尽きる。視界いっぱいに広がる巨大スクリーンと高精細な音響を兼ね備えたIMAXの上映環境でそれを味わうことによって格別のものとなる。
冒頭のシーンから描かれる、潜水艦「やまなみ」とアメリカの原子力潜水艦の衝突シーンでは、ズシンとした衝撃が体いっぱいに響き渡る。さらに機械室が海水に侵されていく一連をはじめ、潜水艦の内部から味わう緊迫したバトルの連続。まるで「やまと」の一員になって海江田と共に乗り合わせているかのような、あるいは「たつなみ」のなかで深町と共に海江田を追っているような臨場感を全身で感じることができ、いつしか“映画を観ている”という感覚を忘れてしまうことだろう。
そんな臨場感をより一層高めているのは、こだわり抜かれた“音”の表現だ。無音の海中で味わえる静寂の“音”、潜水艦の狭い艦内で浴びる機械やかすかな波の“音”、そして攻撃によって潜水艦内部へと伝わってくる衝撃の“音”。どんな微細な“音”も逃さずにとらえるIMAXの音響環境の醍醐味を、これでもかと味わえる。物音を立てずに潜航する潜水艦をわずかな音だけでキャッチするソナーマンの気分を、映画館にいながらにして体験し、彼らが一斉にヘッドフォンを外すとあるシーンでは、一気に全身の力が入ること間違いなしだ。
また原作ファンが楽しみにしているであろう、海江田の趣味であるクラシック音楽と戦闘シーンの融合も存分に堪能することができる。モーツァルトの「交響曲第41番『ジュピター』」をはじめとした、オーケストラ収録による壮大なトラックが映画全編を彩り、それが海中の静けさの向こう側から聞こえてくる瞬間はまさに鳥肌もの。スクリーンでは激しいバトルが繰り広げられ、目からも耳からも『沈黙の艦隊』の世界を浴びることができる。
作り手たちの原作に対する熱量と愛情によって、誰もが楽しめるエンタテインメント大作に仕上がった本作は、IMAXで観てこそ真価を発揮するだろう。ド迫力の潜水艦アクションや緊迫の心理戦、そして全世界を巻き込む壮大な世界観を存分に体感してほしい。
文/久保田 和馬