玉山鉄二&大塚明夫“2人の次元大介”が明かす、国民的キャラを演じるプレッシャーと仲間との絆
「いつまでも『清志さんの面影が残っている』と感じてほしい」(大塚)
――本作を観ると、改めて「次元ってカッコいいな」と実感する人も多いと思います。次元を演じるうえで大事にしているのは、どのようなことでしょうか。
玉山「次元が持っているであろう哲学やイデオロギーを大切にしつつ、現場では『これはオーバーだ』『これはちょっと足りないかもしれない』とキャッチできるような感覚やアンテナを大事にしながら演じています。活字だと成立するようなセリフでも、いざ声に出してみるとキザすぎる場合もあるものなんですが、監督は『そこは自分で調節していい』という話をしてくれました。たとえば、劇中で次元がオトに帽子をかぶせてあげるシーンがありますが、あれはもともと台本にあった動作ではありません。次元がオトに言葉をかけるシーンだったんですね。でも『次元らしい優しさとはどんなものだろうか』と考えた時に、ああいった行動として出てきたので、僕が感じている次元らしさのようなものが集約された場面になった気がしています」
大塚「アニメを実写化するって、とても難しいことですよね。次元って、ちょっとした照れが色気につながったり、ただ“ダンディ”という言葉だけで記号化できないところもあって。アニメ好きな人ならば、次元大介が三次元になって出てくることに違和感を覚えるかもしれませんが、本作を観たらその違和感はすぐに忘れます。しっかりと、玉山鉄二が次元に見えてくる。『皆さん、ご心配なく』とお話ししたいです(笑)」
――大塚さんは、1971年のアニメ放送開始から50年以上にわたり次元を演じた小林清志さんから役を受け継ぎ、2021年放送開始のアニメ「ルパン三世 PART6」から次元役を担当されています。演じるうえで大事にしているのはどのようなことでしょうか。
大塚「僕はいつまでも、『清志さんの面影が残っている』と感じてほしいなと思っていて。僕自身が次元大介の大ファンで、清志さんが演じる次元を観て育って、こうして年寄りになってきました。僕が年齢を重ねる間、ずっと清志さんが次元を演じてくれていた。その遺伝子を大事にしていけば、次の世代ではまた誰かがそれを拾って演じてくれるだろうと思っています。これからも“バトンをつないでいく”ということを意識して、走っていきたいです」
――オリジナリティを出すよりも、清志さんの次元を大事にすることを心がけているんですね。
大塚「オリジナリティというものは、どうしても出てしまうものなんですよ。どれだけ『清志さんの次元を忘れないでほしい』と思っていても、結局やっているのは僕なので。にじみでてしまうものであって、あえて出そうとは思っていないですね」