『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』完成披露上映会で、細谷佳正や高橋李依を安藤裕章監督が絶賛

文明が衰退し雪海(ゆきうみ)に沈んだ惑星を舞台に、滅びゆく世界の謎を追う、ポスト・アポカリプスファンタジー超大作『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』が10月13日(金)より公開される。10月8日にTOHOシネマズ新宿で本作の完成披露上映会が開催され、上映後の舞台挨拶に主演を務める声優の細谷佳正、高橋李依、安藤裕章監督が登壇した。

本作は「BLAME!」「シドニアの騎士」で世界中から高い評価を受けている漫画家の弐瓶勉と、弐瓶作品を圧倒的なクオリティで映像化してきたポリゴン・ピクチュアズが贈るポスト・アポカリプスファンタジー超大作。主人公であるカイナ役を細谷佳正が、ヒロインのリリハ役を高橋李依が演じた。

「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」がフジテレビ「+Ultra」ほかで放送され、このたび待望の劇場版が完成し、お披露目された感想について安藤監督は「テレビシリーズからファンタジー作品としてスタートして、予想もつかない展開を繰り広げた作品です。本日は観ていただきありがとうございます」と感謝の想いを口にする。

キャスト陣も、完成した映像のクオリティや迫力に圧倒された様子。安藤監督は、アフレコ収録時の様子も振り返り、監督からプレスコ形式で収録した意図として「キャストが1人1人のキャラクターを深く理解し、自分たち制作陣の理解を超える瞬間を感じることがあります。そのため、キャスト陣にできる限りキャラクターを任せたいという想いがありました」とアフレコ秘話を明かした。

カイナ役の細田については、何度も取り直して収録が進められたことも明かされ、監督より「細谷さんの演技が魅力的すぎるんです」というコメントが飛び出し、会場からも賛同の拍手が。続けて、監督は「カイナは力を持っているが、若くてそれが発揮できないところを表現したかった。そこで、あえて力を抑えた演技で表現するために何度もお願いしてしまいました」と収録時を振り返った。

さらにオーディション時の様子についても明かされ、監督からは、カイナは何気ないブレスやため息が多く、「そんなキャラクターを上手く演じられるのは、細谷さんだけなのではと感じました」と伝え、高橋さんについても「オーディションでの一声を聞いてすばらしいと感じました」とコメントすると、キャスト陣も喜びの笑みを浮かべた。

また、劇場版では、新キャラクターとして、独裁国家であるプラナトを率いるビョウザンを花江夏樹が演じることも話題となった。安藤監督はビョウザンというキャラクターについて「カイナとリリハは物語の主人公としては不完全な2人ですが、この2人の組み合わせで完成しているところがあります。しかし、ビョウザンにはそれが欠けている。そこが今回のお話のテーマでもあります」と物語のキーポイントについても触れた。

さらに、テレビシリーズに引き続き、ヨルシカが書き下ろした幻想的で美しい主題歌「月光浴」が『大雪海のカイナ』の作品世界を彩るが、監督から楽曲についてのオーダーした内容を尋ねると「打合せの際に、この作品で描こうとしている物語は伝えましたが、歌詞や曲のイメージについては、あえて具体的なお願いはせずにお任せしました。できあがった曲を聞いて、作品にぴったりでさすがだなと思いました」と答えるなど、貴重な制作秘話が次々と飛び出した。

最後に登壇者1人1人より、作品への想いが伝わるメッセージが贈られた。安藤監督は「体験的に楽しめるような画作りや、音作りを意識して作った作品です。等身大の主人公たちと一緒に楽しんでいただけることを意識して作っていますので、ぜひ劇場で観ていただけたらと思います」と、期待を込めて映画をアピールし、会場からの大きな拍手に包まれながらイベントは幕を閉じた。

文/山崎伸子