森崎ウィンが『ザ・クリエイター/創造者』に感じたアジアへの愛と可能性!「未来予想図を見ているような感じ」
「人間とAIが混在していて近い将来をリアルに象徴している」
AIたちは、人間からドネーション(寄付)された外観をコピーすることで人間そっくりな容姿になることも可能。メカ部分むきだしの耳元を隠してしまえば、人間と見分けがつかない。未来のテクノロジーに驚かされつつ、物語の世界には素直に入っていけたという。「人間とAIが混在していて、AIも家族を持っている。すごい世界なんですが、近い将来をリアルに象徴しているように感じました。もし、ロボットが感情を持つようになり、家族を傷つけられたらやっぱり反発するだろうし、怒りも生まれると思います。渡辺さんの『ミスを犯すのはいつでも人間だ』みたいなセリフもすごく深かったですね」とドラマ面も見応えがあると称賛する。
もし、映画のような世界で暮らしていたらAIに恋をできるか?という問いには「わからない」としながらも、映画を観ながら様々な想いをめぐらせたという。「ドネーションで誰かの外見をもらったとしたら、どうやって個体を識別すればいいのか。大切な人を失って、その記憶を別の個体にコピーすれば同じように愛せるのかなど、すごく考えさせられました。でも、AIも人間が作ったものなので、愛情表現や愛し方は人間と同じ。だから映画で描かれているのは普遍的な愛の物語で、そこもすごくよかったです」。
「必要なところだけCGを足したからこそ、撮影現場の空気感が観る側にもきちんと伝わってくる」
映画に登場するAIたちは、俳優にメカのパーツを合成したり、CGキャラクターを俳優がいた場所に配置するなどして表現されている。通常は合成する箇所にマーキングをしたり、グリーンバックの前で撮影を行うが、本作は通常どおりに撮影。仕上げの段階で、監督が必要だと思った箇所に合成を加えるスタイルが採用された。視覚効果は「スター・ウォーズ」シリーズなどを手掛けてきたILM(インダストリアル・ライト&マジック)が担当。撮影時の手間は省けるが、高度な技術が求められる。
仮想空間を描いた『レディ・プレイヤー1』でグリーンバックを経験している森崎は、本作のスタイルについて「すごく贅沢ですね」と笑う。「グリーンバックの撮影は、完成するまでどうなるのかわかりません。映画を観て、こうなるならもっとああすればよかったなんて思うこともあります。本作では、ロケをして必要なところだけCGを足したからこそ、撮影現場の空気感が観る側にもきちんと伝わってくるんだなとすごく納得しました」。
この映画に出られるとしたらどんな役を演じてみたいのかを聞くと「ミャンマー人」と即答。「ミャンマー出身ですから、この世界にミャンマー語を入れるのが使命ですね。一般市民でも農民でもなんでもいいです。僕の顔、結構いじめられる役が似合うと思うんですよね」と笑う。
ミャンマー生まれの俳優。2018年、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』で主要キャストに抜擢されハリウッドデビューを果たす。その後も映画やドラマ、ミュージカルなどで活躍。2020年に映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また、主演した連続ドラマ『本気のしるし』では釜山国際映画祭2021のASIA CONTENTS AWARDSで「Best Newcomer-Actor賞」を獲得し、劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection2020」に選出された。2023年にはNHK大河ドラマ『どうする家康』で二代将軍の徳川秀忠を演じ、またMORISAKI WINとしてメジャーアーティストデビューするなど、エンタテインメント界で多彩な才能を発揮している。