トニー・レオンが東京国際映画祭に登場!ウォン・カーウァイ、ホウ・シャオシェンとの秘話を語る

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トニー・レオンが東京国際映画祭に登場!ウォン・カーウァイ、ホウ・シャオシェンとの秘話を語る

「ウォン・カーウァイ監督の現場は毎回アドベンチャー気分」

悲情城市』の翌年、『欲望の翼』(90)でウォン・カーウァイ監督と初タッグを組んで以降、トニー・レオンは彼の作品の常連俳優としてその名を轟かせていく。フェイ・ウォンや金城武と共演した『恋する惑星』(94)に、カルト的人気を集めた『楽園の瑕』(94)。カンヌ国際映画祭で高い評価を集めた『ブエノスアイレス』(97)に、トニー・レオン自身がカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した『花様年華』(00)、そして『2046』と『グランド・マスター』。そのコラボレーションは20年以上に渡る。

ウォン・カーウァイ監督と6度目のタッグとなった『2046』
ウォン・カーウァイ監督と6度目のタッグとなった『2046』[c]2004 BLOCK 2 PICTURES INC. [c] 2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

「自分の演技というものについて大きな壁にぶつかっていた時、ウォン・カーウァイ監督と出会いました。最初に出演した彼の作品は『欲望の翼』で、監督は僕の演技を見た瞬間にどこが良くないのかわかったのだと思います。共演のマギー・チャンは2、3テイクでOKが出るのに、私の場合は10回も20回もやってようやくOKが出る。私が『自分は演技が下手なんだ…』と感じていると、監督は『あなたの演技は技巧的なもの、作ったものが多すぎる。そういうものは必要ありません』とおっしゃいました。

その言葉で、私のなかにあった凝り固まったような“作られた演技”がバラバラに壊されていきました。完成した作品を観た時に、自分の演技はこういうものだったのかと驚かされ、ウォン・カーウァイ監督の手腕に脱帽しました。俳優の良いところをいかに発掘するのかという点に長けている。この監督と今後も一緒に映画を撮りたいと決心し、それ以来20年以上も一緒に何本もの映画を作り続けていくことになりました。

貴重なエピソードが次々と明らかに!
貴重なエピソードが次々と明らかに!

当時はよくウォン・カーウァイ監督と夜な夜な雑談を交わし、様々な音楽や文学を紹介してもらいました。何本か仕事をしていくうちに、だんだん監督のやり方がわかってくるようになりました。ウォン・カーウァイ監督のチームは本当にすばらしく、美術のウィリアム・チョンさんにカメラマンのクリストファー・ドイルさん。そして出演する役者も皆すばらしく、彼らから刺激を受け、多くを学びました。私にとってこの20年は、演技について2度目の訓練を受けていたような心持ちでした。

また『悲情城市』の時に考えていた、いかに自然な演技をすることができるのかという課題も、ウォン・カーウァイ監督との仕事で解決できたと感じています。私はあまり利口ではありませんので、自分の演技に関してなにかを試みる時には一度実践しなきゃできませんし、演技を修正するのにも時間がかかる。何本もやっていくうちに、なんとか自分のやりたいこと、見せたい演技を実現できたと思います。


ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』ではカンヌ国際映画祭男優賞を受賞
ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』ではカンヌ国際映画祭男優賞を受賞

ウォン・カーウァイ監督は脚本があっても我々には見せてくれません。でも出演する俳優は物語の全体像も演じる役柄も理解している。それは監督がとてもはっきりした指示を出してくれるので、それに向けて準備ができるからです。でも物語がどのように完成するのかは知らないまま。おそらく撮影現場にたくさんの余白と可能性を残しておくねらいがあるのでしょう。多くの情報を与えられれば、どうしても構えてしまう。その不自然さは監督にとって必要ないものなのだと思います。なので毎回、アドベンチャーに出かけるような気分ですね(笑)」

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