まさかのホラー版「BTTF」…エンタメ感満点の『ハロウィン・キラー!』は映画ファン必見|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
まさかのホラー版「BTTF」…エンタメ感満点の『ハロウィン・キラー!』は映画ファン必見

コラム

まさかのホラー版「BTTF」…エンタメ感満点の『ハロウィン・キラー!』は映画ファン必見

ハロウィンシーズンの小さな町を震撼させた連続殺人鬼が、35年ぶりに復活する…。この季節にぴったりの名作ホラー映画を彷彿とさせるストーリーに、まさかのタイムトラベル要素が加わったエンタメ感満載のAmazon Original映画『ハロウィン・キラー!』が現在Prime Videoで配信中だ。北米の批評集積サイト「ロッテン・トマト」でも批評家からの好意的評価の割合は87%と、ほかのブラムハウス作品に負けず劣らずの高評価を獲得している、まさにこの季節に注目の話題作だ。

物語の舞台は、1987年のハロウィンに少女3人が犠牲となる凄惨な殺人事件が起きた小さな町。被害者たちが皆16歳で、16回刺されたことから“スイート16キラー”と名付けられた殺人鬼は捕まることなく、事件は未解決のまま35年の歳月が流れる。かつて被害者たちの友人だったパム・ミラーが再び現れた“スイート16キラー”に殺される惨劇が発生し、パムの娘で16歳のジェイミー(キーナン・シプカ)は犯人を捕まえようと決意。しかし逆に命を狙われ、友人が作ったタイムマシンに逃げ込んだ彼女は、1987年へとタイムスリップしてしまう。

いま再注目の80'sカルチャーがユーモラスに活きる!

【写真を見る】ハロウィンに現れる連続殺人鬼を、過去にタイムスリップして捕まえる!?傑作映画のオマージュが盛りだくさん
【写真を見る】ハロウィンに現れる連続殺人鬼を、過去にタイムスリップして捕まえる!?傑作映画のオマージュが盛りだくさん[c]Amazon Content Services LLC

まさにジョン・カーペンター監督が手掛け、先ごろシリーズ完結を迎えた名作ホラー「ハロウィン」シリーズと、ロバート・ゼメキス監督の傑作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(特に1作目)の融合。この2タイトルを主軸にしながら、ほかにも様々な懐かしい映画のエッセンスが織り込まれているのが本作の魅力のひとつ。

1987年の高校に交換留学生を装って潜入したジェイミーは、そこで後に“スイート16キラー”の被害者となる少女たちや若き日の母親パムらと親しくなり、共に協力し合いながら事件解決に向けて奔走していく。校内ヒエラルキーの上位に君臨するティーンエイジャーたちが、殺人鬼の恐怖に震えながら謎を解く様子は、1990年代後半に一世を風靡した「スクリーム」シリーズなどの“青春スラッシャー”映画の雰囲気そのものだ。

『スクリーム』など、90年代に流行した青春スラッシャー映画ファン必見の展開!
『スクリーム』など、90年代に流行した青春スラッシャー映画ファン必見の展開![c]Everett Collection/AFLO

ホラーと青春、さらにミステリー要素も加えながら、現代と1980年代のカルチャーギャップやジェネレーションギャップをくすりと笑えるユーモアとして見せていく。警備体制のゆるさや“コンプライアンス”という言葉すらない時代の風習や若者同士の下世話なやり取りに、現代っ子のジェイミーは戸惑いを隠しきれない。現代では当たり前のことが当たり前ではなかった1987年。その差に良し悪しをつけるわけでも過剰に懐かしむわけでもなく、笑いの一要素として使っていくスタンスがとことん痛快。

また、1980年代のティーンエイジャーたちの描写を見て想起させられるのは、近年再評価が進むジョン・ヒューズ監督の名作青春映画の数々。本作の劇中に登場する少女たちは、『ブレックファスト・クラブ』(85)などのヒューズ監督作品でブレイクしたモリー・リングウォルドの服装を真似し当時のカルチャーを再現。会話のなかにはほかにも当時の時代背景を感じさせるワードも数多く登場。「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』観た?」や「『スクリーム』はまだ公開されていないか…」と元ネタを隠さずにさらけ出すやり取りも秀逸だ。

ホラー苦手でも問題なし!スリラー映画の宝庫ブラムハウスの新境地

タイムスリップ映画の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』への言及が作品のいたるところに
タイムスリップ映画の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』への言及が作品のいたるところに[c]Everett Collection/AFLO

もちろんタイムスリップ映画としての醍醐味も満載。“過去”を変えることで“現在”に影響が及ぶ。そんなおなじみの危険を感じながら、ジェイミーは現在の自分の出生にも影響しかねないできごとを阻止しようと躍起になる。その一連は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)でマイケル・J・フォックス演じるマーティが若き日の両親と遭遇するシーンとも重なる。ラストで明かされる衝撃的なタイムパラドックスの結果もまた、この映画のムードを維持したユーモアにあふれ、思わず笑顔になることだろう。

広い目で見れば“ホラー映画”のジャンルにくくることができるとはいえ、小ネタも満載でグロテスクな描写も控えめなので、ホラーが苦手な人でも問題なく楽しむことができるはずだ。本作を手掛けたのは、「ハロウィン」の新3部作や『ゲット・アウト』(17)など本格的なホラー、スリラーを数多く世に送りだしてきたジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクション。ある種のセルフパロディだと考えれば、「最終絶叫計画」シリーズのようなコメディ映画の気分も味わえる。


Amazon Original映画『ハロウィン・キラー!』は現在配信中!
Amazon Original映画『ハロウィン・キラー!』は現在配信中![c]Amazon Content Services LLC

ハロウィンシーズンはもちろんそれ以外の時期でも、友人たちとワイワイ観るのにぴったりな本作。リアルで会うのが難しい友人とは、Prime Videoのウォッチパーティー機能を使ってみるのもいいかもしれない。

文/久保田 和馬

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