『ジュラシック・パーク』30周年を盛大にお祝い!記念イベントや特設サイトで恐竜たちの偉大な足跡をたどる
“恐竜映画”の常識を変えたアイデアと技術革新
恐竜映画の歴史は、“映画の父”と称されたD.W.グリフィス監督の『Brute Force』(1914)から始まった。その後、何度も映像化されたアーサー・コナン・ドイルの「失われた世界」や、エドガー・ライス・バローズの「時間に忘れられた国」を原作とした「恐竜の島」シリーズなど、“恐竜たちが人知れず生き続けていた”という前提のもとに構築される“ファンタジー”であることが主流だった。
しかし「ジュラシック」シリーズにおいて恐竜たちは、進み続ける科学技術によって人間が生みだしたものとして出現する。『ジュラシック・パーク』の劇場パンフレットには、スピルバーグ監督の言葉としてこうつづられている。「これはサイエンス・フィクション(科学的空想)ではなく、サイエンス・イベンチュアリティ(科学的に起こり得る事態)だ」。
恐竜の血液を吸っていた蚊が入った琥珀から、およそ6600万年前に絶滅した恐竜のDNAを摘出。そして最新鋭の遺伝子工学によって恐竜たちが現代に再生される。原作者であるマイケル・クライトンが生んだこのアイデアは、人間による能動的な行動が結果的に人間社会を脅かすことへの警鐘というSF作品の醍醐味を忠実に守りながらも、それでも生きた恐竜を見てみたいという誰もが一度は抱いたことのある好奇心を共存させ、SFもファンタジーをも超えたものへと昇華させていった。
「恐竜を本物らしく見せるためには、一つ一つの筋肉の動きから創らなければなりません。少なくとも恐竜がナショナル・ジオグラフィックに撮られている象くらい本物に見えなければ、この映画を創りたくなかったのです」。デビュー作の『激突!』(72)から『ジョーズ』(75)、さらには『E.T.』(82)にいたるまで、斬新な映画表現で世界中を魅了してきたスピルバーグ監督は、『ジュラシック・パーク』を手掛けるにあたって恐竜たちが生きて動いている姿を見せることにこだわり、試行錯誤を重ねたという。
スタン・ウィンストン率いるチームが1年かけて恐竜たちの調査を行ない、アニマトロニクスを駆使した撮影で恐竜たちのディテールにリアリティを持たせる。さらにジョージ・ルーカスが創設したILMのデニス・ミューレン率いるCGチームが、開発されたばかりのモーフィング・テクニックで恐竜たちの雄大な全身運動を作りだす。
従来のストップモーション・アニメーションを発展させたものを取り入れる案もあったというが、新たな挑戦を積極的に取り入れることで映画の技術革新を示す。技術をもってすれば、恐竜をよみがえらせることだって可能になる。この作品が、後の映画の常識を大きく塗り替えたことはいうまでもないだろう。
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