『GAMERA -Rebirth-』スペシャルトークショー開催!“動ける怪獣”たちの創作の裏側も明らかに
千葉・幕張メッセにて、12月8日から10日の3日間にわたって開催されているアメコミ・映画・ポップカルチャーの祭典「東京コミックコンベンション 2023)(以下「東京コミコン2023」。12月9日には「GAMERA -Rebirth-」スペシャルトークショーが行われ、瀬下寛之監督、怪獣デザインの高濵幹、声優の金元寿子、 豊崎愛生らが登壇。怪獣好きにはたまらないお宝トークを繰り広げた。
本作最大の特徴と言えば、なんといっても怪獣同士が繰り広げる大迫力の戦闘シーン。1話につき1体ずつ、新たな敵怪獣が登場し、まさに“怪獣プロレス”と呼ぶにふさわしいバトルを展開する…とのことで、まずはこの要素を深掘りすることに。
主役であるガメラの造形に関して、監督からのオーダーは「怪獣プロレスをやりたい」「怪獣だけどヒーローとして描きたい」という2点だったそうで、そこからイメージを広げていき、現状のデザインにまとめたという。
瀬下監督によると「ただ懐かしい作品にするのではなく、令和にガメラを復活させるからには、ものすごく動けるようにしたい。そこを起点にデザインを考えていきました」とのことで、「のしのし歩くのではなく、めちゃくちゃ走る。“動ける怪獣”として全怪獣のビジュアルを作り上げていって。ですので本作のガメラは、重量感はあるけどダッシュができる亀…といったイメージです」とも話す。
なお、怪獣は1体につき、デザインからモデルに落とし込むまでに7か月~1年はかかるそうで、すべての怪獣のモデルの完成には、4年近くの年月がかかったという。
高濵氏によると、そこまでかけて完成させたガメラのお気に入りポイントは、甲羅と目だそうで、「一番気に入っているのは甲羅の造形ですね。逆立った鰭(ひれ)にも見える突起がびっしり敷き詰められていて、これまでのガメラにはないビジュアルになっています。それともう1点、こだわったのは目つきです。鋭さの中に、やさしさや意志の強さ、さらには知性すら感じさせる…と言いますか。ガメラの心情を挙動だけでなく目でも表現できたらいいなと思い、こちらのデザインしました」とのこと。
ステージの後半では、ガメラと対峙する怪獣、1体ずつのビジュアルについても説明する展開に。1話に登場するギャオスは、とにかく目つきを凶悪にすることで、人間とは相いれない存在であることを強調。そこから、すべての敵怪獣は“人間を捕食する恐るべき存在”という点を軸にし、個々のデザインを考えていったという。
ちなみにジャイガーは、初期の段階では筋肉質なシルエットだったが、徐々に細身になっていき、最終的には巨大な頭部と貧弱な体という“違和感”を強調したデザインに落ち着いている。
またジグラは、もともとは水中だけでなく、陸上でも活動できる体型でデザインされていたが、陸に上がったとたん、急に弱弱しく見えるビジュアルにした方がストーリーにも落差を付けられるという理由で、現状のエイに似た造形が採用された…など、様々な創作裏話が語られ、非常に聞きごたえのあるトークショーとなった。
取材・文/ソムタム田井
※高濵幹の「高」ははしご高が正式表記