「涙なしには見られない!」ARMYライターがBTSの10年の軌跡をたどる「BTS Monuments: Beyond The Star」を徹底レビュー
ARMYに感謝を!コンサートに込めたBTSの想い
ARMYも苦しい気持ちで視聴した第2話だったが、第3話のタイトルは「幸せを追い求めて」。2018年は、BTSがさらに飛躍した年だ。ワールドツアーでの移動はプライベートジェット機となり、ボディガードの数も増えたという。今でこそK-POPアーティストが欧米のメディアや授賞式でパフォーマンスをすることは珍しくないが、その基盤を作ったのは間違いなくBTSだろう。「FAKE LOVE」の初パフォーマンスは、アメリカで行なわれた「2018 ビルボード・ミュージック・アワード」で行なわれた。さらに同年9月には、ユニセフのグローバル・サポーターとして、ニューヨークの国連本部でスピーチを行った。「あなたが誰なのか、どこから来たのか、肌の色やジェンダー意識は関係ありません」というRMのスピーチは、国籍も世代もジェンダーも超えて、世界中から愛されている彼らだからこそ説得力がある言葉だ。
さらに2019年には「第61回グラミー賞」に出席し、プレゼンターも務めた。授賞式が終わるとすぐに生配信を行い、 “グラミー初参加”をARMYと一緒にお祝いしてくれた。そしてワールドツアー「LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF」の開催。韓国アーティストとして初めて、全世界のアーティストが憧れるイギリス・ウェンブリースタジアムで公演を行ったことも大きな話題となった。
どれだけ世界的アーティストになろうと、BTSはARMYへ必ず感謝の気持ちを伝えてくれる。ソウルで開催されたツアーファイナル公演では、これだけ過密スケジュールをこなしている7人が、「ツアーが終わるのが悲しい」とARMYの前で泣いていた。BTSがどれだけARMYを、そしてライブを大事に思ってくれているのかが伝わり胸が熱くなった。
第4話、「離ればなれ」。RMは「『ON』についてはみんな歌詞を忘れてるかもしれませんね」と話していたが、「痛みを持っこい、苦痛を糧にして強くなってやる」という強烈でかっこいいフレーズは、初めて聴いた時、本当に衝撃だった。そんな「ON」を提げて行う予定だったのが、第1話でも触れた2020年のワールドツアー「MAP OF THE SOUL TOUR」だ。プロモーションのために大掛かりなゲリラライブも予定していたという(本当に見たかった…)。
第1話でも流れた、ワールドツアー開催中止が決まった際のメンバーの落胆した姿が映し出され、胸が苦しくなる。「何を楽しみに生きればいい?ライブが全てなのに」というJUNG KOOKの言葉は、まさに当時の私たちARMYの言葉そのままであり、メンバーも全く同じ気持ちだったのだなと、泣きそうになってしまった。自主隔離を行い、寂しそうに一人で部屋の掃除をするJIMINの姿も堪えた。
そんななか、BTSは初のオンラインコンサート「BANG BANG CON The Live」を開催。そして2020年8月には、世界中で大ヒットした「Dynamite」をリリースした。BTSは「Dynamite」で初の全米1位を達成。正真正銘の、世界的トップアーティストとなった。当時、コロナ禍がいつまで続くかもわからず暗くて長い夜がずっと続いていたARMYにとって、「Dynamite」は希望の歌であり、BTSだけが私たちに元気と勇気を与えてくれる存在だったように思う。しかもこの楽曲は、SUGAの言うように「1位をとりたくて作ったわけじゃなく、みんなに元気になってほしくて作った曲」なのだ。結果としてその楽曲が、世界中の人々を明るく楽しい気持ちにさせ、全米1位に輝いた。BTSは本当にどこまでかっこいいのだろうか。
BTSは「Dynamite」で初めてグラミー賞にノミネート、そしてソウルから中継でパフォーマンスも披露した。ノミネートの発表をドキドキそわそわしながら待っているRM、JIMIN、V、JUNG KOOKの様子も本編に収録されているので、ぜひ見てほしい。
「Butter」「Permission to Dance」と立て続けにリリースした曲が大ヒットしたBTSは、アメリカ・ロサンゼルスのSoFiスタジアムで約2年ぶりの有観客コンサートを開催。切望していたコンサートでの様子がメインで収録されている第5話のタイトルは、「ウェルカム!」だ。「次いつコンサートができるかわからないから、4日間全力で公演を行った」と語るJ-HOPE。実は筆者は、このSoFiスタジアムの公演に全日程参加したのだが、約2年ぶりのコンサートということでBTSの気迫のこもったステージに本当に圧倒された。ARMYの歓声も凄まじかった。JUNG KOOKが「歴史に残る公演になる」と冗談っぽく言っていたが、まさに歴史的公演になったと思う。RMが「やっとの思いで会えるから、ギフトセットみたいに披露すべきだ」と言っていたように、セットリストもデビューからこれまでの人気曲をまるごと楽しめる、まるでBTSからの贈り物のような、超豪華なセットリストだった。
公演後、帰りの車内で「次の公演はいつかな」と話すJIMINとJ-HOPEからは、本当にライブをすることが大好きなのだなと伝わってくる。また、ロサンゼルスでそれぞれ自由時間を楽しむ7人も必見だ。