ファンに愛されたマイケル・ガンボン…「ハリー・ポッター」ダンブルドア役での名演を振り返る
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
約100年ぶりに開催されることになった「三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)」の模様が描かれた第4作。“炎のゴブレット”が選出した各校の代表選手をダンブルドアが発表していくなか、4人目の選手として年齢制限で本来立候補できないはずのハリーが選ばれてしまう。この際の戸惑いの表情、少し声を荒げながらハリーを呼ぶ姿、マクゴナガル先生(マギー・スミス)に大会の中止を提言されるなか、迷いを抱えながらも続行を決断する様子からも、予想だにしない事態に直面していたことがうかがえる。
最終課題の終盤、アラスター・ムーディ(ブレンダン・グリーソン)に化けて校内に潜入していたバーティ・クラウチ・ジュニア(デヴィッド・テナント)の策略で、ハリーは墓地に送られ、そこでヴォルデモートの復活を目の当たりにする。犠牲になったセドリック・ディゴリー(ロバート・パティンソン)の遺体と共にホグワーツに戻って来たハリーをクラウチ・ジュニアが尋問し、亡き者にしようとした時の、ダンブルドアの怒りはすさまじい。部屋に入って来るなり武装解除の呪文で杖を取り上げ、そのまま壁際に押しつけるとスネイプ(アラン・リックマン)に真実薬を要求し、あらいざらい吐かせていた。これまでのゆったりとした優雅な身のこなしから一転、内に秘めた荒々しさを垣間見せたシーンだった。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
ヴォルデモートが復活したことを魔法省は認めず、苦境に立たされる第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)のダンブルドア。ディメンターを追い払おうとやむなくマグル(人間)の前で魔法を使用したハリーを弁護するため、尋問会に現れた彼が魔法省大臣のコーネリウス・ファッジ(ロバート・ハーディ)に「闇の帝王の復活は疑いようもない」と訴えるも、「復活はあり得ない!」と突っぱねられた際の落胆の表情からも状況の深刻さが慮られる。
第5作最大の見せ場となるのが、ダンブルドアとヴォルデモートによる本格的な魔法バトル。これまでにも魔法を使って敵や怪物を攻撃するシーンはあったが、魔法使い同士が、しかも作中トップの実力を持つ2人が戦うさまに興奮したファンは多いはず。呪文を唱えることなく杖のモーションだけで、燃え盛る炎で巨大な大蛇を作りだしたり、球状の水流で相手を飲み込んだりと大迫力のバトルが展開された。しかし、まさに全盛期というヴォルデモートに押される場面も目立ち、ダンブルドアは己の衰えと強大な敵の力を目の当たりにする…。
また、本作においてダンブルドアはハリーをどこか遠ざけるようにしていて、結果的にハリーはシリウスを失うなど深く傷つくことになってしまった。そのことについてダンブルドアはハリーに謝罪し、自分たちの絆がヴォルデモートに利用されるのを恐れていたことを明かしている。ハリーたち劇中の登場人物はもちろん、観客にとっても絶対的な存在だったダンブルドアが自身の過ちを認め、後悔を見せる興味深いシーンになっている。