監督×カメラマン×カラリストが語り尽くす!『ゴジラ-1.0/C』の“モノクロ”に凝縮されたこだわりを徹底解剖
「自分の映画を新鮮な気持ちで観るという、なかなか得られない体験ができた」(山崎)
――完成した『ゴジラ-1.0/C』を観て、また作業を終えての感想をお聞かせください。
山崎「最初に観た時、自分が撮った映画じゃないように感じたんですよ。映画作りは作業中に何回も本編映像を観るので完成するころには見慣れているんですが、観たことない画が次々と出てくるのが新鮮で。自分の映画を新鮮な気持ちで観るという、なかなか得られない体験ができたのは良かったですね。特に大戸島のゴジラの襲撃がこんなに怖いんだ、とあらためて感じました。機銃を撃てなかった敷島(神木隆之介)に、そりゃ撃てないだろうなと初めて同情したという(笑)」
柴崎「カラーのライティングで撮っても、ここまで白黒として完成度を上げられるということですね。そういう意味では、カラーの時のグレーディング以上にやり切った感はあります。僕としては、焼け野原のシーンや浩さん(神木)と典子(浜辺美波)が出会う闇市、飲み屋で男4人で話してる所とか、最初の作戦会議のシーンが白黒とよい感じでマッチして好きですね」
石山「色を白と黒だけにすることで、目から入る情報量がシンプルになりました。人物のデティールが増したことにより、演技の印象を強める効果が生まれたと思います。理屈ではなくシンプルに、映画を見ている方が本能的に恐怖や感動を感じるものを目指して作っていたので、その体感ができるものとなっていると実感しました。またモノクロ映像の関わりの少ない世代にもよりリアルでわかりやすい臨場感を届けられると思いました。」
山崎「今回あらためて感じたのが、色情報がないことで逆に音がよく聞こえるようになったこと。色に使っていた脳のリソースを耳に割いたのかもしれませんね。カラーだと聞こえなかった音が聞こえるようになってきたって話も聞きますし、そういう点でもカラー版とは違う体験をしてもらえると思います」
取材・文/神武団四郎