マ・ドンソクがどんな悪党もブッ倒す『犯罪都市 NO WAY OUT』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、拳1つで事件を解決する怪物刑事の活躍を描く大人気シリーズ第3弾、未来予知能力を持つ女性ヒーロー誕生の物語、雪山の山荘で起きた転落事件を巡るヒューマンサスペンスの、ハラハラする3本。
前2作以上にリアルなアクションを追求…『犯罪都市 NO WAY OUT』(公開中)
韓国随一の“愛され俳優”マ・ドンソクが無鉄砲刑事に扮して暴れまくる、「犯罪都市」シリーズの第3弾。今回は、麻薬犯罪の背後に潜む汚職刑事と日本人ヤクザという2大ヴィランが設定されたことで、ドンソク演じる主人公マ・ソクトのバトルフィールドは複雑化。とはいえ難しく考える必要はなく、どんな悪党もブッ倒すのがソクトの主義に身を任せて楽しむのが正しい。
本作ではドンソクが得意とするボクシングのエッセンスを格闘に取り入れ、前2作以上にリアルなアクションを追求。鉄拳制裁の連打はもちろん、彼の持ち味であるユーモアも散りばめられ、無条件に主人公を応援したくなる。スカッとするエンタメ作品を観たいなら、オススメ!(映画ライター・有馬楽)
シェアード・ユニバースらしい目くばせも楽しい…『マダム・ウェブ』(公開中)
「ヴェノム」や『モービウス』(22)に続く“ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース”最新作。仕事中の事故を機に予知能力を授かったニュヨークの救急救命士キャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)は、超人パワーを持つ謎の男から3人の少女を守るため奔走する。不思議な能力に戸惑いながらヴィランに挑むキャシーを描いた本作は、スパイダーマンの盟友マダム・ウェブ誕生の物語。スーパーパワーを持たないキャシーは、予知能力で敵の裏をかく頭脳戦を繰り広げる。
近年ヒーローエンタテインメントはアクション、ドラマともにヘビーな作品が主流だが、本作は断片的に脳裏に浮かぶ未来図をパズルのように組み合わせていくミステリー仕立て。ジョンソンの軽やかな演技も手伝って、ライトなエンタメ作に仕上がった。キャシーの同僚として活躍する青年が若き日のベンおじさんことベン・パーカーであるなど、シェアード・ユニバースらしい目くばせも楽しい。(映画ライター・神武団四郎)
曖昧な“真実”を見極める感性を試される…『落下の解剖学』(公開中)
2023年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールに輝き、来る3月10日(日)に授賞式が行われる米アカデミー賞でも6部門にノミネート。フランスのジュスティーヌ・トリエ監督が撮り上げた本作は、雪深い山荘で起こった中年男性の不審死事件をめぐるミステリー劇だ。それは山荘の上階からの転落事故だったのか、それとも自殺か、他殺か。殺人容疑者として起訴されたのはベストセラー作家の妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)で、死体の第一発見者は視覚障がい者である11歳の息子。裁判での検察と弁護士の主張は真っ向から対立し、両者の激しい論戦はサンドラの過去や夫婦の秘密をも暴いていく。
観る者は息がつまるほどスリリングなストーリー展開に引き込まれながら、絶え間なく想像力や好奇心を刺激され、曖昧な“真実”を見極める感性を試される。本格派の法廷ドラマにして、底知れない深みを感じさせるヒューマン・ミステリーでもある衝撃作。その濃密な映画体験にどっぷり浸ってほしい。(映画ライター・高橋諭治)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼