「007」への未練タラタラ…!?『ARGYLLE/アーガイル』にも込められたマシュー・ヴォーンのスパイ映画への愛と憎しみ
『ARGYLLE/アーガイル』も一筋縄ではいかないスパイ映画に!
そんなヴォーン監督の最新作『ARGYLLE/アーガイル』は、スパイ小説家エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)が、自身の小説が現実の出来事を予言していることを理由にスパイ組織にねらわれる様子を彼らしいツイストの効いた物語で描いていく。
虚構と現実が混ざり合った、これまで以上に荒唐無稽な描写でストーリーが展開され、「スパイ映画の常識を覆す」というヴォーン監督の気概が感じられる型にハマらない1作だ。
そのことを象徴する一つの要素が、小説内の敏腕エージェントであるアーガイルのルックス。ヘンリー・カヴィルが持ち前の魅力を生かしチャーミングに演じているキャラクターだが、その髪型はなんと“角刈り”。カヴィルだからこそかっこよく映っているが、この角刈りは既成のスパイ像を覆すというヴォーン流のブラックジョークなのだ。
「キングスマン」をはじめ、これらの大立ち回りから、今後ヴォーンに「007」の監督のオファーが来る可能性は低そうというのが正直なところ。とはいえ「007」も仕切り直しのタイミングなので、もし監督することが実現したらヴォーンはどのような作品を作り上げるのか?気になるところでもある。
文/サンクレイオ翼
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