「イノサン」「#DRCL」の坂本眞一が『デューン』の世界を表現!「アイデアの宝庫。『デューン』のデザインはすごく刺激になります」
「一歩引いた世界で物語を展開し、命を際立たせる演出をしている」
本作を監督したのはカナダ出身のドゥニ・ヴィルヌーヴ。SFドラマ『メッセージ』(16)や、伝説的名作の続編『ブレードランナー 2049』(17)など作家性の強い個性派で知られる監督だ。「ヴィルヌーヴ監督の作品はどれも美術がすばらしく、『メッセージ』の表語文字のデザインは自分でも真似したいくらい好きです。先日『ボーはおそれている』を観たのですが、この作品を手掛けたアリ・アスター監督のような、創作意欲や刺激をたくさんもらえるような監督を僕は無意識に追っているように思います」。
こう語る坂本がデザイン以外で感じるヴィルヌーヴ作品の魅力が、独特の生命感だという。「命あるものから一歩引いた世界で物語を展開し、そのことで逆に命を際立たせる演出をされているように感じます。今回の『デューン』に関しては、砂漠を利用して生命感あふれる(砂漠の民)フレメンを描こうとしたのではないでしょうか」。
「そろそろ“シャラメくん”は卒業かもしれませんね」
次々と話題作に出演している主演のティモシー・シャラメ。彼の大ファンだと明かす坂本はその魅力を「端正な美しさの容姿と、少年期特有の危うさ」だと語り、シャラメにとって本作はターニングポイントになると感じたという。「『ボーンズ アンド オール』でも未完成な少年の内面を繊細に演じていましたが、今回は力強いアクションも含め、少年というより男性的に感じました。そろそろ“シャラメくん”という、くん付けは卒業かなって。今作で彼の新境地が見られたので、これからどんなふうに役者として成長していくのか目が離せないですし、ますます楽しみになりました。ちょうどうちの息子が思春期ということもあり、ちょっと親目線かもしれませんが(笑)」と期待を寄せる。
前作でもシャラメを中心に、ゼンデイヤやレベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザックといった豪華キャストの出演が話題を呼んだが、さらに「PART2」ではオースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、レア・セドゥなど、さらなる人気俳優たちも加わっている。「クリストファー・ウォーケンをはじめ、本当に好きな俳優さんだらけ。『ノーカントリー』の時から大好きなハビエル・バルデムにジョシュ・ブローリン。予備知識なく観たのでアニャ・テイラー=ジョイの役柄に驚かされましたし、『エルヴィス』で魅力いっぱいにエルヴィス・プレスリーを演じたオースティン・バトラーがサイコパス系キャラだったのもおもしろかったです」と熱く語り、次の時代を牽引する若手俳優であるシャラメとバトラーが激突する構図にも心躍ったという。
一方、キャラクターとして特に印象に残ったのは砂漠の民フレメンだった。「砂漠で生きる彼らの生命観に魅せられました。過酷な日々の中でも、彼らの恋や日常が丹念に描かれているので身近に感じたし、幸せになってほしいと願ってしまったくらい感情移入できました」。
「漫画にするなら、どうコマを割ろうかなと妄想が膨らみます」
人間以外にも、本作には砂漠に住む巨大な砂虫(サンドワーム)や小動物トビネズミといった砂漠の生物も登場する。「サンドワームがどう描かれるのかは、この映画の楽しみの一つでもありました。原作小説が宮崎駿さんに『風の谷のナウシカ』を想起させたらしいという話を聞いたこともありますが、特にポールがサンドワームの背中に乗って砂漠を疾走するシーンは爽快感があって良かったです」と話し、漫画でも描いてみたくなったという。「すごく迫力があるし、描いてみたいクリーチャーですね。漫画家としても、ちょっとこのモンスターは欲しい!と思わされるような。漫画にするなら、どうコマを割って、何ページ使っちゃおうかな、と妄想が膨らみます(笑)。砂漠を駆け抜けるシーンの迫力を伝えるなら、見開きを何枚も使ったりして、20ページ丸々使ってもよいですね!」と大きな刺激になったようだ。