東京都日野市で映画やドラマの撮影が多いのはなぜ?日野映像支援隊に聞いてみた!
撮影実績を市民に伝えることも大切な仕事
数多くの映画祭を賑わせた映画『PLAN 75』では、倍賞千恵子演じる角谷ミチが友人たちとカラオケを楽しむシーンが「中央福祉センター」で撮影された。ほかにもミチの友人が一人で暮らす一軒家でのシーンでは、日野市内の空き家が使われた。近年ニュースでも取り沙汰される空き家問題の解決法としても興味深い事例だ。一軒家への問い合わせは多いものの、民間施設の借用依頼は難易度が高いという。たとえ制作側がロケ地として気に入って飛び込み依頼をしても断られてしまうことも多く、日野映像支援隊が間に入ることでスムーズに話が進むこともよくあるそう。よそから突然「ロケ地として場所を貸してほしい」と依頼されるより、名前や活動を知っている日野映像支援隊からの依頼のほうが安心できるのは当然だ。
「以前、日野市出身のアーティストの方から母校の小学校で撮影をしたいと問い合わせがあり、校長先生にアポをとってご挨拶に行きました。最初は難色を示されていましたが、そのアーティストの方が日野市出身だとわかると快く貸してくださったんです。地元の出身者ということで安心していただけたのではないかと思います」と過去のケースを振り返る。
こうして市民の方々に協力を得られるのは日野映像支援隊の地道な努力の賜物だ。これまでに、市が刊行する広報誌「広報ひの」にロケ地情報を掲載したり、イオンモール多摩平の森で撮影風景の写真やポスターを展示するパネル展を開催したりして撮影実績を市民の方々に伝えてきた。なかでも年刊フリーペーパー「日野市ロケ地マップ」の反響は大きい。「ロケ地マップを見ながら日野市を巡ってくれる方もいらっしゃるようでうれしいです。また、以前不動産屋に行った際にこのロケ地マップがカウンター置いてあって、これを置いておくと市外から来た人が『この撮影って日野市なんですね!』と言ってれて、イメージアップにつながっていると聞いた時は、作っていてよかったと思いました」と回想する。
「ここ最近は“ロケの街”として認知されてきたので、外で撮影の立ち会いをしていると『日野映像支援隊ですか?』とお声がけいただきます」と喜びを語りつつ、「今後も市民の皆様から応援していただき、制作側からも支持されるような活動をしていきたいです。そして日野市を盛り上げていければ」とさらなる意気込みを見せた。
取材・文/石川ひろみ