日韓の違いも楽しめる憑依系、予測不可能の復讐劇、パク・ヘイルが出演熱望のディストピア作品…日本未公開の韓国ホラーを徹底分析!
様々な考察がなされているアポカリプス映画『獣の終末』
鄭「4本目は『獣の終末』です」
飯森「これは、なかなか難解な映画でした」
鄭「妊娠した若い女性スンヨン(イ・ミンジ)が、タクシーで田舎の実家に向かっている途中、横柄で怖い相乗り客が乗り込んでくる。彼は運転手とスンヨンについてすべてのことを知っているだけでなく、『世界がもうすぐ終わる』と言いながらカウントダウンを始めます。韓国のレビューを読むと、いろんな考察があるようです」
飯森「確かに、ヱヴァとかツイン・ピークスみたいに、考察して楽しむという見方ができますね」
鄭「パク・ヘイル演じる男がメシアで、スンヨンがマリアだと、宗教的な観点から観る人もいるそうです」
飯森「なるほど。この映画、時系列が微妙にめちゃくちゃになっているんですよね。変な形で時空が歪んでいる。だからネタ明かしというか、謎解きするおもしろさはあるかもしれない。あるいは、わざと謎が解けない迷路でバッドトリップしているような気持ち悪さを楽しむ。ただ、そのどっちなのかすらわからないくらい、手強い謎が多い。世界は終わってしまったようなんですが、なぜ終わったのかという説明もいっさいありません」
鄭「私はディストピアのなかに出てくる人間の本性がおもしろいなと思いました。自分より弱い者が目の前にいると、すぐ大きな態度になる人とか…」
飯森「明らかにアポカリプス(黙示録)映画なんですけど、現実世界の延長線上に世界の終わりが来たという描き方をすることで、もうすでに、現在が世界の終わり級にひどいということを言いたいのかな」
鄭「普通にありそうなのが怖いなと思いました」
飯森「監督は『私のオオカミ少年』(13)と『スペース・スウィーパーズ』(21)のチョ・ソンヒなんですよね。娯楽映画をすごくうまく作れる人が、インディーズ映画で自由になると、こんな映画を作っちゃうんだという驚きがありました」
鄭「パク・ヘイルがシナリオを読んで『ノーギャラでも、絶対出たい!』と言ったそうですね」
飯森「そんなエピソードも納得のカルト映画を初めて紹介することができてうれしいです」
鄭「本当にバラエティ豊かなラインナップですね。第3弾も期待しています」
飯森「実は90年代の終わりに、日本と同じように韓国でもホラーブームがあったんですが、調べていくとお互いにほとんど関係していないんですね。当時の作品を改めて日本に紹介できたらおもしろいな、などと考えています。まだまったく白紙ですが、楽しみに待っていていただければと思います!」
取材・文/佐藤結
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