『レイジング・ブル』、『サウスポー』から『アイアンクロー』につながる系譜!真に迫るスターたちの肉体改造に迫る
数奇な運命に見舞われたプロレス一家を描くA24作品『アイアンクロー』(公開中)。日本でも高い知名度を誇った悪役レスラー、“鉄の爪=アイアンクロー”ことフリッツ・フォン・エリックとその息子たちの実話をベースにした本作で主演をザック・エフロンは、役作りのため筋肉の塊のようなボディに大変身!そのハマリぶりが映画にさらなるリアリティをプラスした。そんなエフロンにも通じる”肉体改造”でスポーツ映画に臨んだハリウッドスターたちを振り返ってみたい。
”肉体改造”に拍車をかけたロバート・デ・ニーロの『レイジング・ブル』
スポーツ選手を演じるため体作りをする俳優は少なくないが、なかでも筋肉質なボクサー役は説得力のある体作りが必須になりつつある。ボクシング映画は『ボディ・アンド・ソウル』(47)や『傷だらけの栄光』(56)など古くから数多くの名作が生みだされてきたが、リアルな肉体改造に拍車をかけた名作が『レイジング・ブル』(80)だ。本作は徹底した役作りで知られるロバート・デ・ニーロが、元ミドル級世界チャンピオンのジェイク・ラモッタを演じた伝記映画だ。
盟友マーティン・スコセッシ監督による同作で、デ・ニーロは筋骨隆々のマッチョなボディに肉体改造。眉を短く剃って破天荒なラモッタを熱演し、『ゴッドファーザーPARTII』(74)の助演男優賞に続いてアカデミー賞主演男優賞に輝いた。鋭い眼光とニックネーム“レイジング・ブル(怒れる牡牛)”通りのブルファイトだけでも十分のカメレオンぶりだが、デ・ニーロは引退後のラモッタを演じるにあたって体重を約30kg増量。二重顎に、シャツのボタンが弾けそうなでっぷりボディを披露して話題を呼んだ。
鍛え上げたジェイク・ギレンホール、マーク・ウォールバーグの筋肉!減量がハンパないクリスチャン・ベールも話題に
アントワン・フークア監督の『サウスポー』(15)は、どん底に落ちたチャンピオンの再生の物語。トリッキーなケンカ屋ボクサー、ビリー・“ザ・グレート”・ホープをジェイク・ギレンホールが演じている。賞レースを賑わしてきたギレンホールは数々のアクション映画でも活躍しているが、今作で演じるのはヘビー級ボクサー。筋肉ではち切れそうな肉体は、ボクシングやウェイトトレーニングのほかに週6日、6か月間にわたって腹筋1000回、ランニング10kmをこなし作り上げたという。フークアらしい凝った映像も手伝って、迫真の試合シーンが味わえる。
マーク・ウォールバーグ主演の『ザ・ファイター』(10)は、元スーパーライト級世界チャンピオン、“アイリッシュ”ミッキー・ウォードの伝記映画だ。この作品で製作にも名を連ねたウォールバーグは、企画にGOサインが出る前からトレーニングを開始。鍛え上げた肉体だけでなく、現場を訪れたミッキー本人も驚いたほど彼の動きをマスターした。
ただしインパクトという面で注目されたのは、彼のトレーナーを務めた異母兄弟ディッキー・エクランドを演じたクリスチャン・ベールのほう。『マシニスト』(04)の激やせぶりで知られるベールだが、本作でもドラッグで身を持ち崩したエクランドを演じるために13kg減量。脆さを漂わせながらエクランドを熱演し、アカデミー賞助演男優賞に輝いた。
総合格闘技に挑んだジョエル・エドガートン&トム・ハーディ
一方、離散した格闘一家の兄弟を描いた『ウォーリアー』(11)のお題は総合格闘技。少年時代に生き別れた兄ブレンダンと弟トミーが試合で激突する。撮影にあたって、ブレンダン役のジョエル・エドガートンはUFC元世界チャンピオンのジムで3週間にわたって選手と同じメニューで特訓。ウェイトトレーニングも行い、リアルな肉体改造に取り組んだ。トミーを演じたトム・ハーディもまた、1回20分程度の筋トレを1日何度も行いながら負荷を高めていく方法で筋肉質なボディを獲得。金網に囲われたオクタゴンで、2人は迫真の兄弟バトルを繰り広げた。