『青春18×2 君へと続く道』が世代に関係なくグッとくる理由とは?ピュアな恋愛、青春の思い出、旅での出会い…エモいポイントを語り合う
「台湾独特のノスタルジックな感じがすごくよかったです」(任)
佐藤「行ってみたいと思うシーンも結構あったよね?」
黄「私は36歳のジミーが乗った電車が雪国に入る瞬間。泣きそうになるくらい美しいシーンだったし、息を呑みました」
任「音が一瞬消えるような感じがすごくよかったです」
黄「私は香港に近い南の出身。雪が全然降らない地域なので、雪をあまり見たことがありません。雪への憧れも強いので、あのシーンはファンタジーのようにも感じました。雪合戦したくなる気持ちもわかります!」
佐藤「ジミーと幸次の雪合戦もすごく青春って感じがしたシーンだよね(笑)」
任「台湾独特のノスタルジックな感じがすごくよかったです。昔からある建物にいまの生活が根付いていて、それがいまの人の生活にすごくマッチしている。どこか懐かしくて居心地のよさを感じるのは台湾ならではかなと。いわゆる“エモい”みたいな感覚がありました。日本と台湾のパートは時代も違うから、よりいい対比になっているような気がして。薄着で暖かい気候の台南と雪でいっぱいの冬の日本。より一層台南の暖かさが伝わるので、次は台南に行きたいって思いました」
佐藤「エドワード・ヤンの映画もそうだけど、台湾の青春映画ってバイクの2人乗りシーン多いよね?」
任「私が台湾に行った時は、2人乗り多いんだなって思いました。ただ、私が見かけたのは仕事帰りのおじさん2人組ばかりでしたけど(笑)」
黄「グループデートの時とかは、鍵を混ぜて一緒に乗る人を決めるみたいなこともやるらしいですね。台湾のドラマや映画ではよく見ます」
任「私は、ジミーが訪れる新潟のランタンフェスティバルのシーンもすごく好きです。黒木華さんが演じていたネットカフェのアルバイト店員、由紀子の温かい感じは、台湾を思い出しました。それがジミーとアミの台湾でのランタンの思い出とも重なってよりすてきに感じました。私自身、台湾旅行中に、日本語の話せる台湾の人にめちゃくちゃお世話になって。電車に乗っていた1時間半くらいずっとそのおじいちゃんと話をして、ご飯までご馳走になった思い出があります」
佐藤「台湾の人ってめちゃくちゃ日本人に優しいよね」
任「本当に。だからアミがカラオケ店の人たちに受け入れる感じもすごくしっくりきました。日本から来たというだけで、話している人の表情がパッと明るくなるくらい、受け入れる度量を体験済みなので、そういう部分もよく出ている作品だなって思います」
黄「ちょうど1990年代~2000年代の台湾は、日本のカルチャーに対してもすごく興味を持っていた時代というのもあったと思います。トレンドみたいな感じです」
佐藤「キャストもすごくよかったよね。道枝くんとかチャラっとした青年を演じるのがすごくうまかった。旅先のノリって感じもしてすごくリアルだなって。旅先だと性格まではわからないけれど、人を見る時のフィルター感というのかな。あのくらいの距離感がちょうどいいというか。奥底は知らないけれど、目的が同じで何時間くらいを一緒に過ごす。旅先で出会う人感が抜群でした」
任「もう会わないかもしれないけれど連絡先を交換するんだって(笑)。あれはすごくいまどきだと思いました。幸次との出会いでやっとジミーの純粋な笑顔が見られたのがすごく印象的でした。アミの話をして雪合戦をして、なんか心を開いている感じがしました。ジミー自身の18歳のころと比べる、あのころの気持ちを思いだすという意味では、軽いノリの幸次だけど、すごく重要な出会いのシーンな気がします。2人の掛け合いを見て、18歳のころのジミーと友だちがわちゃわちゃゲームをするシーンが蘇りました。そして、グァンハンさんの演じ分けのすごさを改めて感じるシーンでもありました」