戦闘員たちがキレッキレのダンス!ナナヲアカリらが明かす、「戦隊大失格」EDムービーの中毒性抜群な魅力
「サビの盛り上がりでキレのあるカッコいいダンスを披露しようと考えました」(山口)
ナナヲとNeruが抜群のコンビネーションで作りあげた「正解はいらない」。この楽曲に乗せて登場人物たちがキレのあるダンスを披露する、一風変わったEDムービーのディレクターを務めたのは、CG制作を行うYdot所属の山口将だ。映画作品でのオープニングCGなども手掛けている山口は、本作ではEDだけでなくキタニタツヤの「次回予告」が流れるOPムービーのディレクターも担当している。
EDムービーを制作するにあたって、本作の監督であるさとうけいいちから「ダンスをメインにしたい」という要望があったとのこと。「さとう監督と意見交換をするなかで、戦闘員と戦隊メンバーがダンスを披露するというアイデアに至りました」。その後「正解はいらない」の楽曲を聞くことで、映像全体のイメージを組み立てていったことを説明する。「第一印象はキャッチーな曲調のなかにシリアスさも感じました。歌詞には力強いメッセージ性があるので、単なるダンス映像にならないように少し不気味な印象を入れつつ、サビの盛り上がりでキレのあるカッコいいダンスを披露しようと考えました」。
ヒーローアニメの“エンディングダンス”の振付けという難しい依頼を引き受けたのは、TRFのバックダンサーや東方神起の演出助手などを行っているKAZZ。「楽曲がとても爽快で力強くてカッコいいので、その良さを失わせないように“1+1が3以上になる”ことを目指して作っていきました。ただ初めは歌詞の意味に囚われすぎてしまったので、歌詞から得たインスピレーションで最低限必要なところは残しつつ、動きそのもののおもしろさや、かっこよさも盛り込みながら振りや動きを考えていきました」と、振付け制作のプロセスを明かした。
歌詞の意味に囚われてしまいながらも、特にサビの「その程度のちゃちな正解はいらない」という歌詞に惹きつけられたとKAZZは語る。「ちゃちな正解というのが、“妥協して着地した誤魔化しの答え”という感覚があり、その自分を誤魔化した嘘の答えを全身で拒否している感じを振り付けに反映させました」。そしてサビにいくまでの、コミカルな振付けの調整にかなりこだわったそうで、「その分サビからの盛り上がりやカッコよさが際立つ展開になったので自分でも気に入っています」と手応えをのぞかせた。
「本当に踊れるのかな?と思っていたのですが、めちゃくちゃ踊っていて感激しました」(ナナヲ)
KAZZが作った振付けをアニメーションに落とし込むという作業もまた、決して簡単なことではない。「実写の撮影とは異なり、キャラクターの動きを想像しながら、カメラアングルや編集ポイントを決めるのはかなり難しい作業でした」と山口は振り返る。またモーションキャプチャー技術を駆使することで、ダンサーの動きを3DCGのキャラクターで表現し、戦闘員たちの個性を表現するために、アニメ制作スタッフにも演じてもらったとのこと。「ダンサーさんたちが楽曲から受け取った印象が表現されているので、3DCGだけでは難しい人間らしい動きやバリエーションにも注目しながら観ていただきたいです」。
完成したEDムービーを鑑賞したナナヲは、「事前に『踊ります』と聞いた時には本当に踊れるのかな?と思っていたのですが、実際に観たらめちゃくちゃ踊っていて感激しました」と大満足の様子。今後、自身のライブでもこのダンスに挑戦する気満々で、「前半の戦闘員たちのダンスは難しそうですね。まだ最後の部分しか踊れないので、もっと練習します」と意気込みを語る。Neruも「特撮モノに対するリスペクトが感じられたのと、原作のほどよく肩が抜けている雰囲気を表現できていておもしろい映像だと思いました」と、EDムービーの魅力に引き込まれていた。
最後に、このダンスを踊るうえでのポイントをKAZZにレクチャーしてもらった。重要となるのは、「サビまでの部分をいかにコミカルに踊るか」とのこと。「顔は澄ました真顔で、でも踊りは全力でふざけている感じがいいと思います。サビからは歌詞に合っている部分でその感情を込めてダイナミックに力強い動きで。そして『正解はいらない』がキマると最高に気持ちがいいです」と笑顔で説明してくれた。このアドバイスを参考にしながら、放送や配信を観て練習し、SNSにダンス動画を投稿してみるのも「戦隊大失格」の楽しみ方の一つだろう。
取材・文/久保田 和馬