どれがいいか迷っちゃう!「マッドマックス」最新作をIMAX、Dolby Atmos、ULTRA 4DXで鑑賞してみた
森の音、荒々しい排気音、銃撃と爆破の破壊音…Dolby Atmosの没入感でマッドな物語をより強烈なものにする(映画ライター・相馬学)
2015年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はアカデミー賞でこの年最多の6部門を制したが、そのうちの一つ、音響編集賞を受賞している点に注目。カーアクションの迫力を伝える点で、サウンドの緻密な構造は重要になってくるが、それが高く評価された格好だ。待望のシリーズ最新作『マッドマックス:フュリオサ』もこの点に力を入れているのは言うまでもない。というわけで、リアルな迫力を体感させる音響システム、Dolby Atmos仕様のスクリーンで本作を体感したが、そのとんでもない臨場感に驚いた。
“緑の地”と呼ばれる森の音に囲まれた冒頭から一転、バイカー集団にさらわれた主人公フュリオサと、その母親の砂漠でのバイクチェイスでは荒々しい排気音が鳴り響く。風を切り、砂漠の砂を蹴る音。合間に飛びかう銃撃音。いずれの音も、どこからどこへ向かっているのかが、仮に映像を見ずともはっきりわかる。これは後に、スケールを増しながら展開するカーチェイスも同様。とりわけ、フュリオサらが乗り込んだ巨大タンカートレーラー通称“ウォー・タンク”と、略奪集団とのバトルが展開する中盤の見せ場は圧倒的で、車体下部のモーター音、複数の車両のエンジン音、空中からの襲撃音、銃撃と爆破の破壊音、さらにはウォー・タンク後方に備え付けられた複数の鉄球の回転音などに囲まれる。ハイテンションのバトルの渦中に放り込まれたような、そんな感覚を覚えずにいられない。
アクションを盛り立てる音以外にも、劇中では様々なサウンドが響く。例えば、迫りくる砂嵐の重低音。強風の中でかわされる会話。砂漠を歩くキャラクターの息遣い。そのような音が正しい位置に配置されることで、観客はフュリオサの復讐への道のりを体感していく。また本作には前作に続きジャンキーXLこと、トム・ホーケンボーグがスコアを提供しており、刺激的なデジタルミュージックも聴覚を大いに刺激する。Dolby Atmosの没入感は、マッドな物語をより強烈なものにするに違いない。