ホラー大好きなセントチヒロ・チッチが“推す”『サユリ』「メジャー映画にうんざりしている、コアなファンもぶっ飛ぶ!」
「怖いシーンがたっぷりですが、実は後味がいい!」
「“怖さ”を追求するホラーと、テンションを上げるアクションは混ざらない感じがするのに、一体化しているのがすごい。家族の死にまつわる伏線回収もしっかりしているし、絶妙なバランスが保たれていると感じました」と、異ジャンルの要素を携えた本作の魅力を語るチッチ。劇中で特に印象に残ったシーンはどこか訊ねると、彼女は映画後半で則雄が一人で家にいるシーンを選んだ。
「則雄と住田の学校でのストーリーが、どこかで家と繋がる時が来るだろうなと思っていたら、本当に住田が家に来てしまって…。則雄の心が揺らぐのも可愛らしいところだし、そこに付け込んでくるサユリもすごく嫌なやつだし。作品全体のテイストがギアチェンジして、一段階持ち上げられたシーンだと感じました」。そして「あれこそ白石監督のパワーですよね」と声を弾ませる。
学生時代にレンタルビデオ店でアルバイトをしていた経験があるチッチは、当時レンタルDVDでブームとなっていた白石作品もチェックしていたそうで、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや『ノロイ』(05)が特に好きだと明かしてくれた。「もし『サユリ』を観て、白石監督の映画を観てみたいと思う人がいたら、私は『テケテケ』をオススメします。『サユリ』と同じく怪異に立ち向かう映画ですし、闘う相手が強すぎ、怖すぎなのも同じです。初めて観た時には夜眠れなくなりましたし、帰り道で背後を気にするようになったぐらいです…」。
最後にチッチは、これから『サユリ』に触れる観客に向けておすすめポイントを語ってくれた。「ただ怖いだけでなく、『なぜ、サユリは悪霊になってしまったのか?』という背景までが描かれています。本作のように“切なさ”を感じさせるのも日本のホラーの良いところだと改めて思わされました。個人的には一人ではなく、友だちや家族、大切な人と観てほしい。前半は怖いシーンがたっぷりですが、実は後味がいいので、映画館が明るくなったあと隣にいてくれる誰かと噛み締めてほしい作品です」とアピール。
「また、メジャーなホラー映画の弱々しさにうんざりしているコアなホラー好きも大満足できること間違いなしです!」と熱っぽく語り、「私は、とある呪文でサユリがスッといなくなるシーンが大好きです。呪文の言葉は、文字では書くことができないようなぶっ飛んだ内容なので…ぜひ劇場で確かめてください!」と呼びかけていた。
取材・文/久保田和馬
5月8日生まれ、東京都出身。2015年より"楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー、セントチヒロ・チッチとして活動。2023年6月にグループ解散後、同年8月に加藤千尋名義で女優として活動を開始。
音楽活動としては、2022年8月よりCENT名義でソロプロジェクトを開始し、2023年には全国ツアーも実施。CENTとしての新曲「堂々らぶそんぐ」が各配信サービスにて配信中。