各部門に注目作が目白押し!
映画祭の花形ともいえる「コンペティション」部門は、110の国と地域から集められた2023本のなかから厳正な審査を経て選び抜かれた15本が上映。香港を代表する名優トニー・レオンを筆頭に、橋本愛とキアラ・マストロヤンニ、映画監督のエニェディ・イルディコー、ジョニー・トーの審査委員団が審査を行ない、「東京グランプリ」など各賞を決定する。
日本映画からは3作品がラインナップされており、いずれも今回のTIFFがワールドプレミア上映。片山慎三監督が成田凌を主演に迎え、つげ義春の同名短編を映画化した『雨の中の慾情』(11月29日公開)、大九明子監督がジャルジャルの福徳秀介のデビュー小説を映画化した『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年4月公開)、吉田大八監督が筒井康隆の同名小説を映画化した『敵』(2025年1月17日公開)。
ほかにも『台北暮色』(17)のホアン・シー監督の新作『娘の娘』や、『イエローキャット』(20)を手掛けたカザフスタンの俊英アディルハン・イェルジャノフ監督の新作『士官候補生』など、映画祭でいち早く観ておきたい注目作品がラインナップ。是非とも掘り出しものの作品を見つけ、観客賞の投票にも参加してほしい。
アジアのフレッシュな監督たちの作品を紹介する「アジアの未来」部門の上映作品10本は、すべてがワールドプレミア上映。なかでも注目は、「第2回日本ホラー映画大賞」受賞作を受賞監督である近藤亮太監督が自ら長編リメイクした『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(2025年1月24日公開)。“Jホラーの正統派継承者”とも謳われる近藤監督の長編監督デビュー作を、いち早く目撃できるチャンスとなっている。
海外の映画祭を沸かせた作品を数多く取り上げ、現在の世界における映画界の潮流を示す「ワールド・フォーカス」部門の目玉は、先ごろ行われた第81回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いたペドロ・アルモドバル監督の『The Room Next Door』。ほかにもナンニ・モレッティ監督作や、マルチェロ・マストロヤンニ出演作、カルト的人気を誇るアルトゥーロ・リプステイン監督作の特集企画も組まれているので、是非ともチェックしてほしい。
第37回東京国際映画祭のチケット一般販売は、10月19日(土)よりスタート。上映作品とスケジュールの詳細を映画祭公式ホームページでチェックし、充実した10日間を過ごしてみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬