役所広司の主演作では意外にも18年ぶり?『八犬伝』が動員ランキング初登場1位を獲得!
10月25日から10月27日までの全国映画動員ランキングが発表。日本のファンタジー小説の原点ともいわれる「南総里見八犬伝」を下敷きにした山田風太郎の同名小説を、役所広司主演で映画化した『八犬伝』(公開中)が、見事に初登場でNo. 1に輝いた。
ダイナミックなVFXで「八犬伝」と滝沢馬琴の物語が交錯!
全国362の劇場で公開された『八犬伝』の初日から3日間の成績は、観客動員12万5748人、興行収入1億6808万7160円。日曜日に行われた公開記念舞台挨拶は、上映劇場の大半を占める336の劇場でライブビューイングが行われるなど全国的な盛況ぶり。配給のキノフィルムズによれば、同社の設立以来初の動員ランキング1位スタートとなったようだ。
里見家の呪いを解くために8つの珠に引き寄せられた8人の剣士たちを描く「八犬伝」の世界観と、それを生みだした原作者である滝沢馬琴にまつわる実話パートが交錯する本作。「鋼の錬金術師」シリーズなどを手掛けた曽利文彦監督の十八番ともいえるダイナミックなVFXが見どころのひとつとなり、役所をはじめ、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、板垣李光人、水上恒司と、豪華キャストが勢ぞろい。
そのなかでも取り上げるべきは、やはり主演の役所についてであろう。昨年、ヴィム・ヴェンダース監督がメガホンをとった『PERFECT DAYS』(23)で日本人俳優として史上2人目のカンヌ国際映画祭男優賞に輝いた、言わずと知れた国民的俳優のひとりである役所。作品のタイプは異なるけれど、同作以来の主演作として公開前から大きな注目を集めていたことはいうまでもない。
先述の公開記念舞台挨拶に登壇した際、役所は「あまりNo.1の映画には出たことがないので感動しています」と語っていたが、調べてみると意外なことに、役所の主演作が動員ランキングでNo. 1を飾るのはかなり久しぶりのこと。オープニングクレジットで最初に名前が出るオールスター映画『清洲会議』(13)を主演作としてカウントするならば11年ぶりだが、はっきりと“主演”と銘打たれた作品では『THE 有頂天ホテル』(06)以来18年ぶり。それもまたオールスター映画ではあったのだが。
時代劇からコメディやヒューマンドラマ、さらにはアウトローな刑事役を演じたバイオレンスなど、多岐にわたるジャンルの作品でさまざまな顔を見せてきた役所。国際的な評価を得たこのタイミングで、堂々たる主演映画が動員ランキングの首位をゲットしたとなれば、彼の役者としての地位はいま以上に盤石のものとなるだろう。まずは今回の『八犬伝』が、ヒットの目安となる興収10億円に到達できるかどうか、大いに注目したい。