『THIS IS IT』、『のだめ』の次にくる話題沸騰の音楽映画って?
昨年、社会現象を巻き起こし、日本国内だけでも興行収入51.7億円を上げた『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(09)。アンコール上映も盛況だったが、パリでは本作を抑えてオープニング成績No.1となった、音楽をモチーフにした映画『オーケストラ!』(2010年GW公開)が話題になっている。
『オーケストラ!』は、今は落ちぶれているが、かつてはロシア・ボリショイ交響楽団の主席指揮者だった中年男が、昔の仲間たちと“寄せ集めのオーケストラ”を結成してパリの一流劇場に乗り込むという物語。音楽映画といっても、世相を反映した悲劇のドラマが丁寧に描かれ、ロシアとフランスの国民性の違いをちゃかしたコメディとしても相当面白い。だからこそ、物語が収束するフィナーレのオーケストラのシーンで、一気に感動の渦を巻き起こすのだ。
オーケストラのシーンについては、本国では「まるで、本当のコンサートを聴いているかのよう」と言った声が寄せられたり、感激の拍手が鳴った映画館もあったりするようだ。さらにフランスの映画誌Ecranで2009年最高の満足度94%をたたき出したりと、評判もすこぶるいい。
オーケストラを描いた映画といえば、すでに興収32億円を突破した『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』(公開中)の臨場感あふれる演奏シーンも好評を博し、この後に控える『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』(4月17日公開)にも大いに期待がかかっている。
『のだめ〜』しかり、『〜THIS IS IT』しかり、DVDではなく映画館で観ておきたいと言う客が詰め掛け、さらにリピーターとなり、その結果がメガヒットに結びついたようだ。確かに音楽をフィーチャーした映画は、映画そのものを楽しむのに加え、コンサート気分でいい音をみんなで分かち合えるという“一粒で二度おいしい”のが魅力である。
そんな音楽映画の楽しみ方を覚えた観客は、きっとまた新たな作品を観に映画館へ足を運ぶのではないだろうか。不況の中、『アバター』(公開中)も“映画館で観るべき作品”というふれ込みが広がり、俄然大ヒット中だが、その追い風もあり、今音楽映画もホットな存在だ。ぜひ『オーケストラ!』、『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』共にチェックしておきたい。【Movie Walker/山崎伸子】