愛らしい見た目の不思議な生き物、モグワイを巡って繰り広げられる大騒動を描く、ファンタジーホラーの傑作「グレムリン」シリーズ。その第1作『グレムリン』(84)が日本公開を迎えてから、12月8日でちょうど40年を迎えた。製作総指揮を務めたスティーヴン・スピルバーグや、ジョー・ダンテ監督の名前で語られることが多い本作だが、忘れてはならないのは本作の“生みの親”である脚本家の存在だ。
その“生みの親”とは、当時まだ無名の脚本家だったクリス・コロンバス。大学在学中に執筆した本作の脚本がスピルバーグの目に留まり、彼の率いるアンブリン・エンターテインメントに引き入れられたコロンバスは、そこで本格的なキャリアをスタートさせる。その後、監督や脚本家、プロデューサーとして数多くの伝説的な王道エンタメ映画を次々と世に送りだすこととなる。そこで本稿では、『グレムリン』の日本公開40周年を記念して、コロンバスの功績をたどりながら、彼が携わってきたこれからの季節にぴったりな傑作の数々をいっきに紹介していこう!
発明家のランダル(ホイト・アクストン)がチャイナタウンの骨董屋で一目惚れし、息子のビリー(ザック・ギャリガン)へのクリスマスプレゼントとして譲り受けた不思議な生き物モグワイ。しかしモグワイを飼うためには守らなければいけない3つの約束があった。「水に濡らさないこと」「光を当てないこと」「真夜中を過ぎたら絶対に食べ物を与えないこと」。モグワイに“ギズモ”と名付けて大切に育てるビリーだったが、ひょんなことから約束を破ってしまい、いたずら好きなグレムリンが大量発生。街は大混乱に陥っていく。
“グレムリン”という存在自体は古くからイギリスに伝わる妖精の一種。コロンバスは夜な夜な家のなかを動き回るネズミの群れからこの物語を着想し、本作を生みだしたという。映画化に際しては、当初ティム・バートンが監督候補にあがっていたが、『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』(83)にも参加したジョー・ダンテに白羽の矢が立てられる。
そして1984年のサマーシーズンに北米で公開されるのだが、奇しくもその公開日は『ゴーストバスターズ』(84)と同日。週末興収ランキングでは同作の後塵を拝して1位を獲得することはできなかったものの、最終的には興収1億5000万ドルを突破し、年間興収ランキングの第3位にランクインする大ヒットを記録。続編となる『グレムリン2 新種誕生』(90)も製作され、いまなお続編を待ち侘びる声が絶えない人気作となった。