「海が走るエンドロール」たらちねジョンも驚愕!「ロード・オブ・ザ・リング」最新作におけるアニメーションの精巧さとシリーズとのつながり
「セットから小道具まで一つ一つのものに対するリアリティの追求に衝撃を受けた」
たらちねが手掛ける「海が走るエンドロール」は夫と死別した65歳の女性が大学で映画を学ぶ物語で、「アザミの城の魔女」はスコットランドのエディンバラが舞台の魔女や精霊が登場するファンタジー。これらの作品を手掛けるうえで「ロード・オブ・ザ・リング」に影響を受けたところがないか質問すると、「“現実感”をどう持たせるか」という答えが返ってきた。
「『ロード・オブ・ザ・リング』のドキュメンタリーを十数年前に観たのですが、セットから小道具まで劇中に登場する一つ一つのものに対するリアリティの追求に衝撃を受けました。長い年月を経た建物の色褪せ具合のような経年劣化も再現されていますし、登場人物が身に着けている衣服も泥で汚れていたりするので長い旅路を想像させてくれます。旅行が好きでよくヨーロッパも巡るのですが、そこで城壁とかを見ると『わあ!「ロード・オブ・ザ・リング」みたい』という感覚になるので、ヨーロッパの人たちにとっては歴史に根付いた地続きの作品なんでしょうね。ファンタジーはちょっとでも嘘っぽくなると気持ちが冷めてしまうので、いかに現実感を持たせられるかが大事だと考えています。その世界観に没入できないとキャラクターにも感情移入できないですからね」。
続けて、自身の作品ではどのように“現実感”を持たせているかも明かしてくれた。「例えば、『海が走るエンドロール』だと、主人公のうみ子は『〇〇なのよ』みたいな定型的な女性言葉を話すのですが、実際に60代でこのような言葉遣いの方がいらっしゃったので採用しました。一方で、うみ子が通う大学にいる若い世代の女性たちには、こういった女性言葉は使わせていません。あと、山口という髪が緑色のキャラクターには、ひと言『髪を染めている』というセリフを入れたり。現実の世界に即さないと気になってしまうので、私自身が見聞きしたことや、そこから想像できる範囲で描くようにしています」。
「たくさんの騎馬兵が入り乱れる合戦はすごい迫力になりそう!」
本作はIMAX、Dolby Cinema、4DXといったラージフォーマットでも上映される。今回は通常版での鑑賞だったので、たらちねがラージフォーマットで観る時に楽しみにしているポイントを聞いてみた。「戦闘シーンが好きなので、たくさんの騎馬兵が入り乱れる合戦はすごい迫力になりそうですよね!あと、山々を吹き抜ける風とか大鷲の羽ばたき、鳥のさえずりといった自然の音もより立体的に体感できそうです。ムーマク(巨象)に追われるヘラが森に逃げ込むシーンとか、没入感も深まって怖さもより増していそうです」。
スクリーン映えする大迫力のアクションに創造性あふれる中つ国の世界、甲冑や武器の装飾など細かいところにまでこだわって作られた『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。シリーズに新たな歴史を刻んだ英雄、ヘラの勇姿をその目に焼き付けてほしい。
取材・文/平尾嘉浩