最新作でさらなるエロティシズムの旅へ…女性向け“ソフトポルノ”の代表格『エマニエル夫人』歴代女優をプレイバック
“新生エマニュエル”を演じるのは、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルラン!
そして『エマニエル夫人』の公開からちょうど50年を迎えた2024年に製作された新たな『エマニュエル』では、『あのこと』(21)でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞に輝いたオードレイ・ディヴァン監督のもと、『燃ゆる女の肖像』(19)で脚光を浴びたノエミ・メルランがエマニュエル役を演じる。
ホテルの品質調査の仕事をするエマニュエルは、オーナー企業からの依頼で香港の高級ホテルに滞在しながら査察を進めていく。サービスも設備もほぼ完璧で、最高評価の報告書を提出するエマニュエルだったが、ランキングが落ちたことが許せないオーナーから経営陣のマーゴ(ナオミ・ワッツ)を懲戒解雇にできるアラを探すよう命じられる。ホテルの裏の裏へと潜入していくエマニュエルは、やがて関係者や妖しげな宿泊客たちによって、禁断の快楽へと誘われていくこととなる。
パリ出身のメルランは、モデルとしてキャリアをスタートさせた後、2011年ごろから女優として活動を開始。マリー=カスティーシュ・マンシオン=シャール監督の『Heaven Will Wait』(16)でセザール賞有望若手女優賞にノミネートされ、『パリの家族たち』(18)や『英雄は嘘がお好き』(18)、『不実な女と官能詩人』(19)などに出演。
『燃ゆる女の肖像』では、アデル・エネル演じる伯爵令嬢のエロイーズの肖像画制作を依頼される画家のマリアンヌ役を好演。セザール賞やヨーロッパ映画賞にノミネートされ、一躍国際的な注目を浴びることに。ジャック・オディアール監督の『パリ13区』(21)やケイト・ブランシェット共演の『TAR/ター』(22)で存在感を発揮し、ルイ・ガレル監督の『The Innocent』(23)ではセザール賞助演女優賞を受賞。今後も話題作への出演が控えている。
「その濃密な旅に巻き込まれ、どこか私自身の内なる旅に出るような感覚をおぼえました」と本作の脚本を読んだ第一印象を振り返ったメルランは、撮影期間中に普段とは異なるルーティンに身を置いて意識的に自らを抑圧し、そこから少しずつ自分を解放していくことで、世界中の誰もが知っているといっても過言ではないエマニュエル役に入り込んでいったことを明かしている。
これまでの「エマニエル夫人」シリーズとは一線を画すように、官能的なスリラー映画としての一面も持ち合わせた本作で、メルランは人間の欲望に果敢に向きあうエマニュエルという役柄をどのように体現しているのか。その演技に注目しながら、劇場で禁断の扉を開いてみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬