「大人になったからこそわかる、土井先生の人間力…」映画ファンが『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』への止まらない愛を語る!
放送32年目を迎えた長寿アニメ「忍たま乱太郎」(以下、「忍たま」)。本作は、乱太郎、きり丸、しんべヱを始めとした忍者のたまご=“忍たま”たちが通う忍術学園をメインに、日々修行に励む生徒たちを描いた学園コメディだ。そんな「忍たま」の13年ぶりとなる待望の劇場版アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が公開中。多数のキャラクターが登場する「忍たま」の中でも圧倒的人気を誇る土井先生を中心に描く、いつものテレビアニメ版とは一味違う、“大人の「忍たま」”が展開する。
タソガレドキ忍者の諸泉尊奈門(もろいずみそんなもん)との決闘に向かった土井先生が消息を絶ってしまう。山田先生と六年生による捜索が始まるなか、担任不在の一年は組ではタソガレドキ忍軍の忍び組頭である雑渡昆奈門(ざっとこんなもん)と諸泉尊奈門が教壇に立つことに。そんななか、偶然きり丸は土井先生の置かれた状況を知る。一方、土井先生を捜す六年生の前には、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼が現れ、その顔は土井先生と瓜二つだった…。
今回MOVIE WALKER PRESSでは「忍者だけど、OLやってます」の作者でもある橘ももと、「忍たま」好きの映画ファンである加世田(20代女性) 、木庭(30代女性)の3人による座談会を実施。大人になったいまだからこそわかる「忍たま」の深みや、久しぶりに触れる大人も「おかえり!」と迎えてくれる変わらないあたたかさ、そして映画を何度でも観たくなるような細かすぎる見どころまで、たっぷりと語ってもらった。
※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。
「大人向けのシリアスな部分を、子どもでも見られるようにした表現力がすごい」
橘「劇場版、よかったですね。原作となる小説版を先に読んでいたので、物語の流れはわかっていたのに、ラストで普通に泣いてしまいました」
加世田「泣きますよね。最近忙しくて、『忍たま乱太郎』自体に触れられていなかったんですけど、夢中になっちゃいました。乱きりしん(乱太郎・きり丸・しんべヱ)を中心としたコミカルな掛け合いがありつつ、これまであまり描かれてこなかった忍者の本気アクションや戦略を練っての戦いも、見ごたえがあって」
木庭「学園が休みのあいだ、きり丸が土井先生の家に身を寄せていることは、覚えている人も多いと思うんです。ただ、きり丸が戦災孤児で家族がなく、土井先生も似たような境遇で育ったから放っておけないんだってことは、知らない人もいると思うんですよね。シリアスな部分に切り込んで、『忍たま』の世界観の深いところまで描いてくれたのが、ものすごくうれしかったです」
橘「今作は、土井先生が失踪するところから始まり、山田先生や忍術学園の六年生たちが、乱きりしんたち一年は組の生徒には内緒で捜索にあたるわけですが、活気あふれる町並みのなかで、飢えた人たちの姿もしっかりと描かれていたのも印象的でした」
加世田「まず冒頭が、燃え盛る火の音を背景に、彼岸花が散るような描写から始まるじゃないですか。倒れているのは着物をまとったカカシだけど、斬撃音や人の声で、これは戦の表現なのだと大人ならすぐにわかる。ふだん『忍たま』を観ている子どもたちがどの程度理解できるかはわからないけど『なにか怖いことが起きているぞ』と、残酷になりすぎない描写で伝わってくるのがすごかったですね」
木庭「彼岸花と一緒に命が散ったのだとわかる不穏さが、映画ならではの彩色で演出されているのも印象的でした。その後も、背景になにげなく彼岸花が描かれている場面がありましたし」