『室町無頼』に『酔拳』『カンフー・パンダ』などなど！思わずマネしたくなる(？)トンデモ修行映画まとめ

直木賞作家、垣根涼介による時代小説を大泉洋主演で映画化した『室町無頼』(公開中)。アクション、スペクタクルを満載した本作の見せ場の一つが、主人公の剣豪に弟子入りした若者による修行シーン。過酷な修行を乗り越えて、若者が棒術の使い手になっていく姿にハラハラさせられる。師に導かれ、命懸けの修行によって覚醒する様は、これまでも多くの映画で描かれてきた。一歩間違えば死につながる苦行こそ、ヒーローになるための通過儀礼。そこで今回は、様々な映画で描かれてきた修行の数々を振り返ってみたい。

ケンカやいたずら三昧のフェイが修行によって成長する『ドランクモンキー　酔拳』

ジャッキー・チェンの出世作にして初期の代表作が香港映画『ドランクモンキー　酔拳』(78)だ。カンフー師範の息子フェイ・フン(ジャッキー)は、父の目を盗んではケンカやいたずら三昧のトラブルメーカー。怒った父親は、酒好きなカンフーの達人スウ(ユエン・シャオティエン)に息子を鍛えるよう依頼する。

『ドランクモンキー　酔拳』での修行シーンに説得力を持たせたジャッキー・チェン[c]Everett Collection/AFLO

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目玉はフェイが課せられる一年にわたる修行シーン。巨大な4つの水瓶に乗って手桶で水を入れ替えたり、クルミを指で潰したり、逆さ吊り状態での腹筋、手首を使った腕立て伏せなどユニークな訓練が次から次に登場。ジャッキー・チェンによるキレのよい身のこなしもあり、どれもが説得力を持っている。これらは基礎体力を養うもので、それを乗り越えたあとに酔拳の訓練に突入する正攻法な展開もよい。監督はのちにハリウッドで「マトリックス」シリーズなどの武術指導を手掛けるユエン・ウーピン。うす汚れた酒好き師匠と奇想天外な猛特訓の組み合わせは『室町無頼』にも受け継がれている。

スパルタ的な修行に主人公が耐え抜く『少林寺三十六房』

少林寺の厳しい修行を描いた『少林寺三十六房』(77)は、ジェット・リー主演の『少林寺』(82)と並んで高い人気を誇る少林寺系カンフー映画。清朝の圧政に苦しむ中国で、家族や友を殺された血気盛んな若者リュー(リュー・チャーフィー)は、復讐のため少林寺の門を叩く。リューはサンダと戒名し、35もの修行房を優秀な成績でクリア。少林寺の武術をより広めるために、誰もが学べる36番目の房を立ち上げる。

スパルタ描写が盛りだくさんの修行シーン(『少林寺三十六房』)[c] 2019 Celestial Pictures Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

水に浮かぶ小さな丸太を渡るほか、重りをつけた長い竹竿を使った鐘打ち、通路に吊られた砂袋に頭突きしながら進むなど、修行シーンはスパルタ描写が盛りだくさん。5年の苦行に耐えたあとも、托鉢の旅に出たサンダが清朝に不満を持つ若者を集めて反乱軍を組織するなどドラマチックな展開が楽しめる。竹林で練習中のサンダが折れた竹をヒントにオリジナルの三節棍を作り、クライマックスでは二刀流の将軍と激しい死闘を展開するなど格闘シーンも見応えがある。