『室町無頼』に『酔拳』『カンフー・パンダ』などなど!思わずマネしたくなる(?)トンデモ修行映画まとめ
食い意地を利用した修行が行われる『カンフー・パンダ』
ドリームワークス・アニメーションの大ヒット作『カンフー・パンダ』(08)は、太っちょパンダが伝説の戦士に成長するアクションコメディ。動物の谷で暮らすぐうたらパンダのポー(声:ジャック・ブラック)は、ひょんなことから道士様より最強の戦士“龍の戦士”に指名されてしまう。レッサーパンダのシーフー老師(声:ダスティン・ホフマン)は、ポーを真の戦士にすべく猛特訓を開始。そのころ、龍の戦士の称号をねらう凶悪なカンフー戦士、タイ・ラン(声:イアン・マクシェーン)が谷へと向かっていた。
のろまなポーが食べ物のためなら猛スピードで動けると知ったシーフーは、肉まんを目の前にちらつかせて筋トレをさせたり、料理の奪い合いで瞬発力を高めたりと、食い意地を利用した訓練を行う。デフォルトされたアクションや、雄大な自然を背景に黙々と稽古に励む幻想的な映像などアニメーションならではの魅力が味わえる。格闘振り付けは『ザ・ワン』(01)や『ラッシュアワー3』(07)などのスタントマン、エリック・チャンが監修。カンフーの達人マスター・ファイブの1人、マスター・モンキーの声をジャッキー・チェンが当てている。
巨大な肉切り包丁で竹林を次々と切っていく『群盗』
韓国映画『群盗』(13)は、腐敗した権力者に立ち向かう名もなき戦士たちを描いた骨太アクション時代劇。圧政が敷かれた朝鮮王朝末期。社会の底辺で生きる屠畜人のトルムチ(ハ・ジョンウ)は、富豪チョ・ユン(カン・ドンウォン)の反感を買い、母と妹を焼き殺される。復讐に燃えるトルムチは義賊団チュソルの一員になり、権力者たちに戦いを挑む。
義賊団に加わったトルムチが2年にわたって特訓をしたのが竹林。竹に結んだ縄を体に巻いて、しなる竹に逆らい進んでいくことで肉体を鍛え上げていく。屠畜をしていた彼の武器は巨大な肉切り包丁。舞うように二刀流で竹を次々に切っていく姿はゾクゾクするほど小気味よい。クライマックスでは、石像に仕込んだガトリング銃で木っ端に役人どもなぎ倒す『続・荒野の用心棒』(66)を思わせる大アクションを展開。音楽を含めマカロニウエスタンを意識したテイストは『室町無頼』にも通じている。宿敵チョ・ユンを竹林に誘い込んでの一騎打ちなど、漫画級の熱血描写も楽しい作品だ。
衣服の着方やシーツの陰から放たれるパンチなど何気ない動作をもとに体を鍛える『ベスト・キッド』
『ベスト・キッド』(10)は80年代の大ヒット空手映画のカンフー版リメイク。母と2人で北京に引っ越してきた少年ドレ(ジェイデン・スミス)は、言葉や文化になじめず地元の少年にいじめられる日々を送っていた。そんなある日、ドレはいじめから救ってくれたマンションの管理人ハン(ジャッキー・チェン)からカンフーを学ぶことになる。
スポ根青春映画だったオリジナルから一転、喪失感を抱えた師弟のシリアスドラマになった今作。修行シーンも時に悲壮感すら漂うが、何気ない動作をもとに体を鍛え上げていくユニークな訓練はしっかり継承されている。衣服の着脱時の所作にはじまり、干したシーツの陰から放たれたパンチ棒をかわし、次々に飛んでくるテニスボールを避け、家庭菜園のぬかるみで下半身を強化するなどなど。数々の訓練はどれもが説得あるビジュアル。おかげでクライマックスのカンフーオープン大会も圧倒的に盛り上がる。まだ幼いジェイデン・スミスのもやしぶり、ジャッキー・チェンのいい感じの落ちぶれ方などキャラクター造形も見どころだ。