「ライバルがいない自分だけの強みを育てよう」松浦弥太郎が『アバウト・レイ』イベントで熱弁
落ちこぼれ家族を温かく描いた『リトル・ミス・サンシャイン』(06)の製作チームが再結集し、エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンが共演したヒューマンドラマ『アバウト・レイ 16歳の決断』(2月3日公開)。本作のトークイベント試写会が1月16日に都内で行われ、「暮しの手帖」元編集長の松浦弥太郎氏が登壇。“16歳の若者たちへ、10代の子を持つ親たちへ”をテーマに、トークイベントを行った。
トランスジェンダーの主人公レイ(ファニング)は、心も身体も男性として生きることを望む16歳。ホルモン治療の同意書に両親のサインをもらおうと奔走する。松浦氏は、高校を中退してアメリカに渡米したという“17歳の決断”を振り返り、「誰がなんと言おうとアメリカに行きたい。それを諦めたら、僕という存在がなくなる。(当時は)そんな気持ちだったんです。すごく自分を重ねて映画を観ました」とコメント。
さらに「レイの場合はセクシャリティに関することですが、他人から変だと思われたり、人に言えずに悶々と悩んだりすることって誰にでもある。その、人の数だけバリエーションがあるユニークさって、“ライバルがいない自分だけの強み”だと思うんです」と持論を展開した。
本作は、レイの変化に戸惑うシングルマザーのマギー(ワッツ)との関係も、物語の軸になっている。「自分も娘がいるからわかるんですが、16歳ってもう大人ですよね。完璧じゃない人間同士が、家族として集まっているわけで、認め合うことが大事。僕自身、両親とは距離感があった。でも、最後に助けてくれるのも、最後まで諦めないで見守ってくれるのも、家族。この映画を観てそう思いました」と語った。
松浦氏は、「僕の中にも、自分自身にカミングアウトしていない部分がまだまだあるなと、この映画を観て気付かされた」と語り、「自分の中にあるユニークさを大切にして、力にして、いろんなことを乗り越えていきましょう」と会場に呼びかけた。
取材・文/編集部