『ブライトバーン』監督が語るヒーロー映画の新たな側面!「スーパーヒーローのジャンルにはサブカルチャーが必要だと思っている」
マーべル・スタジオの人気作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督、ジェームズ・ガンがプロデュースを務めた『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(公開中)。スーパーパワーに目覚めた思春期の少年が人々を襲うという、ホラー、SF、サスペンス、ドラマなどの様々な枠を超えた、新たなジャンルミックス作品として注目されている。そしてこの度、監督のデヴィッド・ヤロヴェスキーと主人公ブランドン役のジャクソン・A・ダンが緊急来日。作品への思いや企画の経緯、スーパーパワーの使い道についてまで、たっぷりと語ってもらった!
「ヒーロー像をひっくり返して恐怖の対象に」(デヴィッド監督)
――ホラー映画に“スーパーヒーロー”や“思春期”の要素を加えるという、これまでにはない作品ですが、どういった経緯で制作に至ったのでしょうか?
デヴィッド・ヤロヴェスキー監督(以下、デヴィッド監督)「ジョン・カーペンター監督のマイケル・マイヤーズ(『ハロウィン』シリーズの殺人鬼)のような、ホラーにおけるアイコンを、スーパーヒーローのレンズを通して描いたらおもしろいのではないかとずっと思っていたんだ。正義の象徴だと思っていたヒーロー像をひっくり返して、恐怖の対象にするというのをやってみたいなと。声に出して言うと、ちょっと危ないかもしれないけれど、ワクワクするコンセプトだと思ったよ」
――物語の構想はあったというわけですね?
デヴィッド監督「プロデューサーのジェームズ(・ガン)は長年の友人であり、メンターであり、一番の親友。2人でしょっちゅう映画の話をしているよ。ストーリーの理解度が高くて、今回も多くのことを学ぶことができて最高だった。少し前に、『邪悪なヒーローものなんていいんじゃない?』という話をしていて、スーパーヴィランもので人が堕ちて邪悪になっていく物語を書いていたんだ。ちょうどその頃、本作の脚本の2人が別で書いていたものに、僕とジェームズがやりたいと思っていた要素が全部詰まっていることに気づいて、『これを映画化しよう』と。僕はスーパーヒーローのジャンルにはサブカルチャーが必要だと思っているんだけど、いまはポップカルチャーのすべての側面をスーパーヒーローが支配しているでしょ。みんな人助けをするイイやつばかり。でも、これだけ恐ろしいパワーを持っていたら、すべての人がその力を犯罪防止のためだけに使わないんじゃないか、という発想からスタートしたんだ」
――となると、この主人公(ブランドン)は、スーパーヒーローなのかヴィランなのか、アンチヒーローなのかと気になるところなのですが…。
デヴィッド監督「ジャクソン、いったい君は何者なんだい?」
ジャクソン・A・ダン(以下、ジャクソン)「演じるにあたっては、カテゴリを決めずに役作りをしました。スーパーヴィランではないけれど、かといって、ヒーロースーツに身を包んだ典型的なスーパーヒーローでもない。どちらかというと、悪魔的な要素を持つ、憑依されるキャラクターだと思って演じたんだ。すでに存在する原型にはハマらない、思春期特有の悩みに葛藤しているキャラクターということで、白紙の状態から役作りをした。人間の子どもでありエイリアンというキャラクターではあるけれど、こういう状況に置かれたらどういう風に感じるかを意識しながら作っていったんだ」
デヴィッド監督「力のことだけを考えたら、僕たちはスーパーヒーローから見たらアリのような存在。でも、ブランドンは思春期で親に嘘をつかれている。そして、その嘘を知ってしまう。自分のアイデンティティが何なのか葛藤している中で、たまたますごい能力を持っていたから、彼のことを恐れるしかないんだよね」