理想の彼氏?男性型の人形“トルソ”とは
孤独な独身男性が“ダッチワイフ”を拠り所としている『空気人形』(09)という映画があったが、今度は孤独な独身女性が“トルソ”という男性型の人形を拠り所としている映画が公開される。それが『トルソ』(7月10日公開)だ。
携帯を持たない。合コンにも行かない。他人には干渉しない。事務の仕事をしながら、静かな毎日を送る独身OLのヒロコ(渡辺真起子)には秘密があった。彼女は“トルソ”という男性型の人形を、心と体の拠り所にしていたのだ。ところがある日、正反対の性格を持つ奔放な妹ミナ(安藤サクラ)が家に押しかけてきたことで、彼女の日常は揺らぎ始めてしまう。といった本作なのだが、キーとなる“トルソ”とは、実は顔も手も足もない胴体と男性器だけの人形なのだ。
ヒロコは日夜、“トルソ”に空気を入れて心と体の隙間を埋めるが、ただの人形としてでなく、一緒に湯船に浸かったり、海へドライブに行ったりと、まるで彼氏のように接している。ヒロコは体温のないこの“彼氏”に満足し、生身の人間と面倒な関係を築き上げなくても「彼がいれば生きていける」と思っている。確かに、どうしても面倒を被る生身の人間より、自分の好きにできる、物言わぬ“彼氏”の方がいいという気持ちはわからなくもない。
この“トルソ”を通して、ヒロコの成長を綴る本作。最初はギョッとする人も多いかもしれないが、見終わる頃には、それを拠り所にしたくなる彼女の気持ちに共感する人も出てくるはずだろう。そして、どことなく癒しのオーラを放つ“トルソ”に、愛着が湧くようになるかも?【トライワークス】
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