黒沢清、園子温、石井裕也の原点「ぴあフィルムフェスティバル」は、なぜここまで注目されるのか?
名優たちのルーツも見られる!映像制作の裏側に注目した特集上映
“映画の新しい才能の発見と育成”をモットーに、豊かな発想に満ちたインディペンデント映画を積極的に上映してきたPFF。「追悼 たむらまさきを語り尽くす」特集では、今年5月に急逝した名カメラマン・たむらまさき(田村正毅)が手掛けた4作品を上映する。
同特集から映画祭初日を飾るのは、まだあどけない宮崎あおいや名優・役所広司が出演した『EUREKA(ユリイカ)』(00)と、ハリウッドでも活躍する浅野忠信が主演を務めた『Helpless』(96)。日本映画界を代表する俳優たちの原点をスクリーンで堪能できるほか、2作品の監督で、たむらと10作品でタッグを組んだ青山真治と、7作品をともにした仙頭武則プロデューサーが登壇し、撮影時のエピソードやたむらの撮影手法などが語られる。
映像業界からゲストを招き、映画・映像制作の現場や作品への思いなどについて徹底対談する「映画のコツ」には、映像制作者志望の学生などがこぞって集まる。今回は、北野武の原点に迫るドキュメンタリー「たけし誕生~オイラの師匠と浅草~」を手掛けたTVディレクターの稲垣哲也と、その企画実現を後押しした佐々木健一が“本当にみたいテレビ番組づくり”について徹底対談する。誰もが知る北野武(ビートたけし)をどんな狙いでどのように捉えたのか…映画好きだけでなくテレビやお笑いが好きな人まで、多くの人に刺さりそうなプログラムだ。
そのほか、巨匠監督ローバート・アルドリッチの生誕100年記念特集の『キッスで殺せ』(55)上映には81年の一般公募部門で入選した黒沢清が登壇するなど、個性豊かな映画をトークを交えて堪能できる企画がめじろ押し。映画界にこれから羽ばたく原石や、彼らと共に映像づくりの神髄を学べるPFFで、芸術の秋を先取りしてみてはいかがだろうか?
文/トライワークス