アカデミー賞有力作が続々!第31回東京国際映画祭の注目作をチェック
10月25日(木)から11月3日(土・祝)まで六本木をメイン会場に行われるアジア最大級の映画の祭典「第31回東京国際映画祭」。昨年、特別招待作品で上映された『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)は、後に第90回アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ最多4部門を受賞する快挙を成し遂げた。今年もアカデミー賞戦線を占う注目作や、各国の映画祭を賑わせた名匠たちの最新作がいち早く日本に紹介される。
まず今年の映画祭で最大の目玉作品と言えるのは、ヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞した『ROMA/ローマ』。『ゼロ・グラビティ』(13)のアルフォンソ・キュアロン監督が手掛けた本作は、メキシコの首都メキシコシティにあるローマ地区の70年代を舞台に、先住民の血を引く女性クレオを軸にした家族の物語が紡がれていく。
12月よりNetflixで全世界同時配信がスタートされる本作を、劇場の大スクリーンで鑑賞できる貴重な機会。来年発表される第91回アカデミー賞外国語映画賞にメキシコ代表としてエントリーされたほか、主要部門での大旋風も噂されているだけにいち早く堪能していただきたい。
そして、同じく今年のヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリと女優賞の2冠を獲得したヨルゴス・ランティモス監督の最新作『女王陛下のお気に入り』も日本初上陸となる。オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの3大女優が繰り広げる熾烈な演技バトルに加え、荘厳な衣装や美術など見どころが満載。
昨年上映された『スリー・ビルボード』(17)と『シェイプ・オブ・ウォーター』と同じくフォックス・サーチライト・ピクチャーズが送り出す本作もまた、第91回アカデミー賞の有力作の1本として目されている。しかもアメリカ公開よりも早いタイミングで本作を目撃できるチャンス。平日の夜遅い上映にではあるが、是非とも足を運んでほしい。
ほかにも、この2作が上映される「特別招待作品」部門では今年の映画祭のオープニングを飾るブラッドリー・クーパー×レディー・ガガの『アリー/ スター誕生』や、マイケル・ムーア監督がトランプ政権下のアメリカに鋭く切り込んだ『華氏119』など、要注目の洋画が相次いで日本に上陸。また日本映画からも山下敦弘監督の『ハード・コア』をはじめ、SABU監督の最新作で劇団EXILEが総出演を果たす『jam』など注目の作品が勢ぞろいとなっている。
また海外の映画祭を沸かせた名匠たちの作品が数多く集まることで映画ファンが熱視線を送る「ワールド・フォーカス」部門には、今年も豪華な作品が並ぶ。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されたオリヴィエ・アサイヤス監督の『ノン・フィクション』やカルロス・レイガダス監督の『われらの時代』。さらにイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノ監督の大作『彼ら』は151分のインターナショナル版で上映。
またルイ・ガレルが監督・主演をつとめジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップが共演を果たす『ある誠実な男』と、今年コンペティション部門で審査委員長を務めるブリランテ・メンドーサ監督や鬼才ラヴ・ディアス監督ら3人の監督がフィリピン映画100周年を記念して手がけたオムニバス映画『それぞれの道のり』、サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門で審査員特別賞に輝いた『まったく同じ3人の他人』も必見だ。
第31回東京国際映画祭「特別招待作品」のチケットは10月14日(日)16時から、「ワールド・フォーカス」部門のチケットは10月14日(日)12時から映画祭公式サイトにて発売される。
文/久保田 和馬